くりふ

彼方にのくりふのレビュー・感想・評価

彼方に(2023年製作の映画)
4.0
【グリーフシェアの車】  

Netflixイギリス発、新作短編。『ディスコ・インフェルノ』『ビフォア・マイ・アイズ』とヒドイ短編が続いたので用心したが、これは雲泥の差で、よかった!…沁みました。

一瞬で全てを失った男が、偶然か必然か、次に得た仕事で訥々、心の穴を埋めてゆく…。

この展開は過去、何処かにもあったでしょうが、短編でこう見せられたのは、私は初めて。

監督のミサン・ハリマンって、同名ナイジェリア出身の写真家がいるが、同一人物なんだね。こんな映画が撮れるんだ。やはり言葉より表情に言わせることが巧いのかと。ラストの長回しショットも、悪くないです。

同じ写真家出身の蜷川実花なんて、こうした心の機微を普通に撮れるようになってから、長編に進んでほしいもの。

お話はもうひと押し、外から何かが起きた方が、メリハリはつくでしょう。ハリウッドならやりそうだけど、これは自浄すべき話ではと。後は本人次第、なのでしょう。

主人公にとって、引きこもるよりはこんな、“黒子でのコミュニケーション”が適切に効いたんですね。他に仕事がなくてこうなったのかもしれないが、善き出会いでしたね。

しっかし相変わらず、邦題はヒドイね。ネフリは解説文も含め、まともなコピーワークのできるスタッフを揃えた方がよいと思います。

<2023.10.26記>
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