【グリーフシェアの車】
Netflixイギリス発、新作短編。『ディスコ・インフェルノ』『ビフォア・マイ・アイズ』とヒドイ短編が続いたので用心したが、これは雲泥の差で、よかった!…沁みました。
一瞬で全てを失った男が、偶然か必然か、次に得た仕事で訥々、心の穴を埋めてゆく…。
この展開は過去、何処かにもあったでしょうが、短編でこう見せられたのは、私は初めて。
監督のミサン・ハリマンって、同名ナイジェリア出身の写真家がいるが、同一人物なんだね。こんな映画が撮れるんだ。やはり言葉より表情に言わせることが巧いのかと。ラストの長回しショットも、悪くないです。
同じ写真家出身の蜷川実花なんて、こうした心の機微を普通に撮れるようになってから、長編に進んでほしいもの。
お話はもうひと押し、外から何かが起きた方が、メリハリはつくでしょう。ハリウッドならやりそうだけど、これは自浄すべき話ではと。後は本人次第、なのでしょう。
主人公にとって、引きこもるよりはこんな、“黒子でのコミュニケーション”が適切に効いたんですね。他に仕事がなくてこうなったのかもしれないが、善き出会いでしたね。
しっかし相変わらず、邦題はヒドイね。ネフリは解説文も含め、まともなコピーワークのできるスタッフを揃えた方がよいと思います。
<2023.10.26記>