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ゴールド・ボーイのhrmのレビュー・感想・評価

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)
3.9
久しぶりのピカレスク。
エンターテイメントに振り切っていて、すっごく楽しかった!
詳細を語ると確実にネタバレしてしまうので割愛するけれど、ロケ地が日常的に目にしている場所ばかりなのでおもしろさが倍増しました。

気になった点は、劇盤や数名のキャラクターの古めかしさ。
ただ、その古めかしいキャラクターを演じていた松井玲奈ちゃんをすごく好きになった。

いちばんもやっとしたのは、東昇による最初の犯罪の動機が不明瞭な点。
他の諸々については一応の理由が語られているから理解できるのだけど、この一点だけは本人の口から語られることが一切なくて消化不良。
要は「財産目当て」ということなのでしょうけど、彼がそれを実際に手にできるまでって前途多難過ぎないか。
あそこまで見事な頭脳派の悪役であれば、筋の通った理屈まで聞かせて欲しかった。

余韻の中でいろいろ考えを巡らせて思ったのは、「破綻の原因は思慮の浅さにある」でした。
犯罪に手を染めないまでも、思慮が浅いままに行動を起こすと痛い目を見る。

元々の原作は、中国人作家 紫金陳による2005年刊行の小説。
そのドラマ化作品を、設定を沖縄に置き換えて作られたのが本作ということみたい。
エンタメに振り切っているからうちなーぐちは一切なし。
でも、地域性を絡めた設定はとても丁寧に作られているように思えて好感を持ちました。

岡田将生演じる「東昇」の名前は、原作小説の同キャラクター「張東昇」からの流用で、少年「朝陽」の名前は同じく「朱朝陽」からの流用だと理解容易。
その名付け方によるキャラクター同士の類似性もおもしろいし、深読みすると因果応報の気配さえ感じる。

沖縄が舞台だと観ながらどうしたって浮かんでしまうのは國場組。
スターシアターズで観たらもっとツボに入ってしまったに違いない。

帰りに原作買ったから、今夜からこつこつ読む。

しかしあの、エンドロール後のあれはなんだったんだろう…次があるにしてもないにしても、必要だった?
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