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オッペンハイマーのhrmのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2
公開初日がおやすみでIMAX上映もあるのなら、観に行くに決まってる。
ということで、朝一で一仕事終えてから「オッペンハイマー」。

事前にいろんな声を目に耳にしていたけれど、私は肯定的な感情を抱いた映画でした。
全てを映像で見せることが、必ずしも良い表現だとは言い切れない。
むしろ想像させることのほうが大切だったりもする。
想像力の欠如が作中のポイントにもなっている。

タイトルそのままに、戦争映画としてではなく「原発の父」ロバート・オッペンハイマーを主としたヒューマンドラマとして描いていた部分に好感を持った。
出来上がったものの良し悪しは別として、偉業を成し遂げた人間でさえ…と言うより、だからこその凡人以上のいびつさ。
大きな力を手に入れてしまったら使わずにはいられない人間の恐ろしさ、そしてその想像ができなかったオッペンハイマーの欠如と因果応報のような苦しみ。
なにより、この作品を観たことをきっかけとして知りたいことが幾つも増えたのが大きな収穫でした。
俳優陣も豪華で演技はもちろん素晴らしいし、ノーランらしい小難しい造りも好きです。

残念だった点は、俳優としての仕事ぶりが以前から好きなロバート・ダウニー・Jrの顔が見えると、アカデミー賞授賞式での振る舞いが脳裏に浮かんでしまったこと。
それから、これはもはや相性の問題としか言いようがないのだけど、ノーランの映画を観ているとどれだけ興味深くてもおもしろいと思っていても、どうしようもなく眠くなってしまう自分自身。

オッペンハイマーの青年期から始まり、原爆の開発、実験、広島・長崎への投下、その後の葛藤という内容ゆえ名乗りを上げる配給会社がなかなか見つからなかったのだろうと思います。
そんな中、以前の職場からお付き合いのあるビターズエンドが配給を決めてくださりほんとうにうれしかった。
消費を目的としているように見える大手配給の薄っぺらい映画方向に行かず、この尖ったミニシアターみたいなスタンスでどうか続けて行って欲しいと願うばかりです。
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