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コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ーのhrmのレビュー・感想・評価

3.8
1968年アメリカ。
婚姻関係にある男女間の避妊さえ認められていなかった時代に、望まない妊娠をした富裕層の主婦ジョイ。
医師たちが認めた特例を除いて中絶さえ許されない中で、違法だが安全な中絶手術を提供する団体「ジェーン」と出会い…という実話を元にしたおはなし。

音楽、美術、衣装など、70'sなポップさに彩られていてとても鮮やか。
当時の雰囲気を表現するために16mmフィルムで撮影された映像は、オープニングなんてほんとうにヘプバーンでも出てきそうな空気。
それでも充分に重たかった。
だけど観てよかった。
身体ごと苦しくなるような重たい映画を観ることも、私には大事。

彼女の中絶の可否について、男性上位社会の嫌な部分を煮詰めたような老齢男性たちが形式上「話し合う」シーン。
ジェーン・スーさんと中野信子さんの「女に生まれてモヤってる!」を読み始めた私には完全に重なって見えてはっきりと怒りの感情が湧いた。

「あのこと」を観た時にも中絶専門の闇医者(ブラック・ジャックの職業を長らく不思議に思っていたのだけど、時代も考えるとあながち有り得ない設定でもなかったのかもと少し思う)が出てきたのを思い出したし、今回もしっかりと下腹が痛くなった。
家族とのはなしがさくっと描かれ過ぎていた部分が消化不良。

ウーマンリブ運動も深く関わる内容だったのでもう少し掘りたくなって、パンフレットを買おうとするも取り扱いなし。
自力でこつこつ調べようと思う。
来週までで上映終了というのも悔しい。
最後に、観客は10人いなかったくらいだったけど、半数以上男性だったのがうれしかった。
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