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アイアンクローのhrmのレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
4.0


「プロレスかぁ…(三沢が生きていた頃、女子も男子もテレビで見ていたものの、今は全く離れてる)」→「A24なのか!」→「実話ベースの、毒親の呪い系ヒューマン!観やすっ🫡」という経緯があり、本日はこちらを。

タイトルの「アイアンクロー」は、邦訳すると「鉄の爪」。
ザック・エフロン演じるプロレスラーの主人公ケビンと、その父で元プロレスラーであるフリッツの得意技から来ているみたい。
ケビンは、5兄弟(実際は6人兄弟)の次男。
父ちゃんフリッツの毒親っぷりは半端なものではなく、日本の古いドラマのようにお母さんが嗜め役かと思いきやこちらもなかなか。
捻じ曲がった教祖様と補佐役みたいな夫婦。
父母の異常性がナチュラルに描かれている部分がまたリアルで怖さが増す。
ああいう環境って、ずっと怖いことが起こり続けるわけじゃない。
平和の隙間にふいに現れるからこそ、いつでも緊張感があって気が抜けない。
2人で会話をしているのに息子の呼び方が名前でなく「son(字幕では名前呼びになっていた)」だとか、息子たちが父親の問いに応える言葉が「◯◯,sir!」だとか。
いろんなものが滲み出ている。

その家庭内で起きる謎の死や立て続けに起きる事故。
ケビンは最終的に自分で呪いを解いたように見えるのだけれど、実際はどうなんだろう。
孫まで含めた大所帯で村のような暮らしをしているようなのと、子供もプロレスラーとしてデビューしたらしいことを知るとどうしても不安が拭えない。

36歳になったザック・エフロンはアイドル俳優から見事に脱皮。
あの肉体改造レベルはデ・ニーロもびっくり!だと思う。
他の俳優陣、特に5男マイクを演じたスタンリー・シモンズという方!も素晴らしかった。

A24の毛色が少し変わってきたなという印象を持った本作。
「プロレスもの」の印象を強く感じたポスタービジュアルだけに惹かれて観る層+往年のプロレス好きってかなりピンポイントですぐに上映終了してしまいそうだけれど。
とても良い作品だったのでたくさんの方々に観て欲しい!と心底思った映画でした。
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