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ありふれた教室のmasayaのレビュー・感想・評価

ありふれた教室(2023年製作の映画)
4.0
高い意欲と正義感を持つ新任教師。彼女が学校の綻びを正そうと取った行動は、生徒や同僚を巻き込む大混乱を生じさせる。表面上は平静でも爆発寸前の活火山のような、教室という社会の箱庭での出来事。そう、これはごくありふれた、世界中で起きていること。

朝の「儀式」だけどさ、あれは先生の為にやってあげてたんだよね。
あどけなさの残る少年の言葉が、ドイツの学校の規律高さや雰囲気の良さを感じさせた冒頭のホームルームの幻想を暴く。この社会はフィクションを介して成立している、誰かが放り出せば消し飛ぶような危うい存在。13歳の子供でも知っている。

ゼロ・トレランス、非寛容方式はともすれば糾弾された側を徹底して追い込む。それに表面上の問題行動への対処は人員不足の教育現場にとって一見理に叶っているようにも思えるが、大きな問題から目を逸らしているだけとも言える。その疑問に立ち戻る余裕も、当事者にはもうないのだけれど。
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