カーラ・ノヴァクは新しく赴任した学校で7年生を担任している。学校では盗難が頻発していてノヴァクのクラスも例外ではなかった。アリが大金を持っていたことで両親も呼び出し事情を聞く。校長は不寛容方式=ゼロ・トレランスを取り入れているので何でも細かく調べると説明した。
▶︎ドイツの新鋭監督イルケル・チャタク監督の長編4作目となる社会派ドラマで、今年(第96回)のアカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされていた作品。
教師不足・学級崩壊など教育現場の抱える問題は万国共通だと認識させられると共に、閉鎖的な学校を社会の縮図として扱った問題提起にやり切れなさを感じた。
正解の無いボタンのかけ違いから大きくなる事象に体が終始ざわつき、それを音楽が更に盛り立てている。叫び声のシーンはシンクロしそうになる程痛く、熱意ある者がこうして潰されて行くのかと思うと辛かった。
ラストのメンデルスゾーンの『真夏の夜の夢』を用いた締め方は、是非は兎も角正に不寛容方式そのもので、してやられたという感じ。今後もイルケル・チャタク監督の作品を観てみたいと思った。