ハナカズキ

アイズ・オン・ユーのハナカズキのレビュー・感想・評価

アイズ・オン・ユー(2023年製作の映画)
4.0
先日見たNETFLIXオリジナルが面白かったので、調子に乗ってまたマーク数が(鑑賞時)400ほどのネトフリオリジナルを観ました。

女優志望のシェリルはオーディションに落ち続けていますが、テレビ番組の出演チャンスをつかみました。「デート・ゲーム」という番組で、3人の男性に様々な質問をし、その中から好みの男性を選ぶという内容。しかし、この中に実は殺人犯が紛れ込んでいた…というお話です。

なんとこれ1970年代の実話とのこと。

実話とわかって鑑賞していることもあり、ただならぬ緊張感が漂います。私には犯人は恐ろしい殺人鬼にしか見えないのに、作品中の女性にはどうやら誠実で魅力的な男性に見えるようでもどかしい。

すごく面白かったんですが、唐突にエンディングを迎えてしまった感じで、もっと長く映画を見ていたかったという気持ちが残りました。

どの程度脚色が加えられているのかはわかりませんが、かなり事実に忠実なのでしょうか?あえてエンテーテイメント色を抑えたのかなという印象です。

この映画の本当の目的は、昔こんな怖いことが実際にあったんだよという実話を紹介するのではなく、恐らく当時の女性蔑視の社会への強烈な批判ではないでしょうか。

まず、冒頭のオーディション場面。オーディション開催側の男性から「ヌードはOKだよね?」と聞かれます。「脱ぎません」と断るのですが、オーディションには落ちてしまいます。これ、もしかして監督兼主演のアナ・ケンドリックの実体験なんではないでしょうか?

また、殺人鬼はしばらく野放しになっていたのですが、どうやらこれは女性蔑視、女性軽視が原因だったようです。通報したのが女性だからでしょうか。それとも犠牲者が女性だからなのでしょうか。警察がまともにとりあわなかったとは驚きを超えて呆れます。

結果、犠牲者の数が拡大します。映画のラストでその人数が紹介されますが言葉を失いました。

この映画はサスペンスフルではありますが、エンタメっぽい大きな盛り上がりはありません。その代わり感じるのは女性蔑視に対する静かな、しかし、強い怒りや抗議の気持ち。

アナ・ケンドリックの初監督作品ということですが、これを最初に撮りたかったという監督の心意気がかっこいい。次作も見てみたいなと思わせる作品でした。
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