北海道の洞爺湖、次女を亡くしたショックで女性への性転換を決断した年寄りで正月に長女一家を迎えるマキ。八丈島、五年ぶりに帰省した娘の妊娠とその相手から届いた離婚届に戸惑う一人親の誠。大阪の堂島、かつて受けた性被害の傷を抱えてレンタル彼氏を名乗る男と一夜を過ごすれいこ。痛みを抱える人々の営みを描くドラマ映画です。
重松清原作の『幼な子われらに生まれ』でモントリオール映画祭の審査員特別グランプリや西川美和以来二人目の報知映画賞監督賞を獲得するなどして活躍する三島有紀子が、自らの持つトラウマを中心に据えてオリジナル脚本で映画化した作品で、カルーセル麻紀や哀川翔、そして監督自らが出演を請うた前田敦子の出演が話題を集めました。
人が様々な形で抱いてしまう「罪の意識」をテーマにしたオムニバスで、メインの「不幸」に「突飛な行動」をトッピングしたセットを連ねる作劇に監督が好む「抽象的な演出」というソースがかかります。作り手の強い想いであってもその過剰さは一人よがりを感じさせてしまうもので、結果として主題をぼかしてしまっているのは残念です。