撮影監督が今村圭佑とだけあって、さすがの美しい映像。舞台となった台湾、長野、只野の美しい景色。旅情をそそられる旅先での出来事と出会い。部分部分は素晴らしかった。でも、グッとは来なかった。
それは、自分が藤井道人という監督に期待していたからだと思う。
彼ならある種、恋愛映画であっても、一味違うものに仕上げてくれるのではないかという期待。
でも、それは叶わなかった。
よくあるストーリーフォーマットに、涙を誘う意図を感じる演出、総仕上げとばかりにエンドロールで流れる有名アーティストによる書き下ろし主題歌。
なんだかありきたりの森に迷い込んだような仕上がりで、ただがっかりした。
この物語は、藤井道人が撮るべき作品だったのだろうか。『最後まで行く』もそうだったが、もっと彼の才能が輝く物語を彼には映画にしてほしい。
昨日『パストライブス』を観たからこそ、一層この作品に残念さを感じてしまったのかもしれない。