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青春18×2 君へと続く道のmasayaのレビュー・感想・評価

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
4.1
自分を確かめる為の旅。どこに居ても、誰と居ても無くならない私自身を確かめに。遠く異国から来た彼女は、南国の光と色に包まれてそう言った。少年にとってはミステリアスな眩い輝き。彼女にとってはきっと必死の叫び。それに気づくには長い時間が必要で、その後悔もまた、人生という終わりなき旅に咲く美しい花。

主人公の18歳と36歳の演じ分けも素晴らしかったけれど、清原果耶さんに少し年上の女性を演じさせる破壊力が想像以上で本当にまいった。これは引きずるでしょ、一生ものでしょという。

彩り豊かな18年前の台湾と対照的に単色気味の現在の日本の場面が交互に来るので、戻らない青春のノスタルジーがどんどん積み上げられていく。片方に居て・片方に居ないその人の存在感も際立っていく。

ミスチル、岩井俊二、スラムダンク、カラオケ、ネカフェ、ゲーム製作、ランタン飛ばし、木造駅舎。日本と台湾の共通点というか公約数的なところを狙ってきてるあざとさはあるんだけど、互いを近くに感じたい恋のような感情で相手の土地のことを描いてるのは案外嫌じゃないなって思った。

はじめて見た風景に過去の大切な記憶がフラッシュバックする、トンネル出口の場面が見事。旅の意味とはこれなのだと、その一瞬の無音が何よりも雄弁に語る。
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