かきたろう

青春18×2 君へと続く道のかきたろうのネタバレレビュー・内容・結末

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

あらゆるシーンが邦画の中央値みたいな映画だなと思い、見ながら少し辟易としたのは、もう青春18きっぷにわくわくする純真さみたいなものが残っていないからでしょうか。
それとも18を二倍するほどには人生を経験してないからでしょうか。

主人公のウブな青年感も、そんなウブな青年が見事に惹かれてしまうタイプのヒロイン像も、バイトの仲間たちも、照明も音楽もロケーションもカメラ位置もカラグレもあらゆる要素が良くも悪くも邦画の中央値という印象を受けた(言い過ぎか?)。

ただ主演二人は良かった。清原果耶は発言に躊躇いがない感じの少し生意気な役が上手い気がしてる(ちょっとだけ500日のサマーを思い出した)。
シュー・グァンハンの18歳役は良すぎる。

あと台湾の景色は本作回想部分の素朴な雰囲気とよくあっててそこも良かった。

何だか少し懐かしい気分になるのは、当然この映画のような経験をしたことがあるからではなく、記号的に配置されたWindowsや岩井俊二に反応したからでもなく、このようなタイプの物語を過去に何度か見てきたからだと思う。

この作品の、特に回想部分の展開は、もはや物語というより、フィクションの共同幻想というか、いわゆる「いわゆる青春もの」というか、いわゆる「経験したことないけど懐かしい」というか、有体に言うと類型的要素のパッチワークという印象だった。

回想部から離れても、やっぱりヒロイン側の話が薄い気がするんだよなぁ。
ここの人間味が薄くて、主人公から見た理想像からほぼ崩れず、あくまでも主人公に気づきを与えたり、彼の歩を進めたり、彼の人生を彩るためのキャラクターにしか思えない。
主人公が旅先で出逢う人物も、もう主人公のためだけに存在しているというか、結論ありきのストーリー上のワンポイントリリーフ感が出てる。

いやまあ別にそれが悪いという話ではなくて、こういうタイプの話が単に好みじゃない、というか興味が持てない。
お金を払ってスマホやおしゃべりや前の席を蹴ることを制限されてまで見ようと思わない。

主人公たちはカラオケ屋でバイトしているけど、この映画自体がカラオケを聞かされているような映画だった。
主人公以外の背景やキャラクターが機械的な空オーケストラで、主人公という歌い手は人を楽しませるより自己満足を目的とした歌声を披露する。
人のカラオケには興味がないから、この映画もあまり好きになれなかった、ということで。

ただ、何か見落としてる感じはするけど…。

あと電車の中で二人で聴いてたミスチルの曲は終わりなき旅ですか?多分違いますよね?あのヒロインの願いはミスリードですよね。流石にもう少しロマンティックな曲聴きますよね。
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