シミステツ

Shohei Ohtani - Beyond the Dreamのシミステツのレビュー・感想・評価

Shohei Ohtani - Beyond the Dream(2023年製作の映画)
4.1
同シーズンに10勝40本塁打15盗塁は史上初。メジャーリーグでの二刀流という夢、そして成功を掴んだ大谷翔平の夢の軌跡を追うドキュメンタリー。
ペドロ・マルティネスがナレーションという贅沢さ。松井秀喜や栗山監督、サバシアなど錚々たるスターが出てくる。

体づくり、メンタル、運、コントロール、人間性など夢の設計図。言語化の大事さ。小学生のときのなりたい大人は「ふつうのひと」。

当時ピッチャーとしての評価が多かった中でバッターとしての評価もあったのが日本ハムだった。二刀流をやった時に両方を超一流に持っていける可能性を感じていたという日本ハムがすごい。本当のところどのくらいのパーセンテージで二刀流として活躍できると思っていたかという大谷翔平の質問、そして100%確信していたと答える栗山監督。栗山監督は5年でアメリカに行かせられなかったら負け、という覚悟だったという。

背番号11について。退団すぐに大谷が背負ったことについてはダルビッシュは全く何も思っていなかったという。エンゼルスを選んだのは「フィーリング」。ちゃんと理解してちゃんと考えた上での直感。論理的な、条件的なところはもちろん熟考した上で最終的には直感を信じるという決断には妙に納得できた。

「ニュアンス」という言葉がちらほらあり結構印象的だった。一義的に捉えられることの危惧だったり、彼にしか分かり得ない世界や努力みたいところもある中で勝手な評価をされることを嫌う感じはあるのだろう。きちんと正確に伝えたいという思いだったり、自分の考えを黙っているわけではなく慎重な見極めをしているというマドン監督の言葉が示しているようなところが彼の言葉に表れている印象があった。

2021年ルールなく縛りなく起用すると言われて変な意味でラストチャンスだと受け取ったという。マドン監督は言葉通りできると確信していたらしいが。栗山監督といいマドン監督といい、大谷の才能を信じるいい指導者に恵まれていたと思う。人生は一度きり、その道しかない中で振り返ってよかった悪かったかは言えない、いい選択だったと言える、そうだったと信じるしかないというのはまさにと思う。正しさを自ら切り拓くということなんだと思う。

WBCではダルビッシュがいないと勝てないといい心を動かした大谷。ダルビッシュが言っていたリスク、契約年に当たるビジネス面、これらは至極真っ当に考えられるべきこともある中で、大谷の勝利への貪欲さというのが感じられた。

大谷の未来を見据えていくシーンにおいて、サバシアの、彼ほどの活躍をして燃え尽きる、いいじゃないかって言ったの超かっこいいな。「未来の野球に何を残すのか」というペドロ・マルティネスの言葉も大谷への高い期待が表れている。

レジェンドたちに褒められて照れてる感じがかわいかったです。