シミステツ

パレードのシミステツのネタバレレビュー・内容・結末

パレード(2024年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

災害で息子・良とはぐれた美奈子。離ればなれになった息子を捜すもそこは”自分のいない世界”。ほどなくして数少ない”仲間”と出会う美奈子。そこは現世に未練がある人たちが集まる場所。月に一度、新月の夜に死者たちが集い、それぞれの会いたかった人を探すパレードの存在。

“その先”に行けない理由。
それぞれのやり残したこと。
映画を完成させること。
好きだった人の幸せを見届けること。
息子に謝ること。
娘が母親になるまで見届けること。

ナナは死んではなくてマイケルの意志を受けて映画を完成させるという最後。

死んでも死に切れない、やりきれなさ、心残り、未練。災害は人の心の断絶を生む。死んでもなお会いたいと思える人がいることの豊かさ。死はすなわち無ではないこと、死んでいても”存在”しているということ。生き残った側が亡くなった人を悼み、悲しみ、想うというのはよくあるが、死者から見た生きている人たちの姿、そして死者の方も生き残った人を想っているのだという視点作りはまったく斬新だし、この映画の圧倒的な価値だと思う。