ふじたけ

GIFTのふじたけのレビュー・感想・評価

GIFT(2023年製作の映画)
3.0
 セリフはないのだが、字幕の入れ方やショットのリズムはサイレント映画ではなかった。音楽中心といえども、やはり観客は映画の物語目当てな訳で、試みとしては面白いが、ちょっと無理があったと思う。
 濱口竜介の舞台前挨拶の中でやたら宗教めいた言葉回しをしていたのが気になったが、映画全体も神秘的に作られている。
 ラストに向け夜の闇が降りるに従って、光輝く青空の森は豹変し、溝口的な美しい狂気の世界に覆われる。森に拒まれた者は、煙を射す夕陽に照らされる中、森と外の狭間である主人公の家で、祈り続ける。主人公は森の守り人か?だから、彼はあそこで手出ししなかった。その他魔法のようなショットも主人公を神秘的にする。森と外という対立構造で読み取れる気もするが、そう単純な話ではなさそう。鹿を狩る人が一人も出てこず、音だけが聞こえたのが気になった。
 森を見上げるドリーは人でも動物でもない。ただ、抱き上げらた者は、あれと同じ光景が見えるのだろう。
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