Amibo

あんのことのAmiboのネタバレレビュー・内容・結末

あんのこと(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

実話を基にしたらしい日本の鬱映画


とにかく主人公あんを取り巻く環境が凄惨。
売春、ドラッグ、盗み、DV…

告発記事を書かなければ
刑事が真っ当に生きていたら
家族がもっと優しければ
そもそも救われようと望まなければ

たられば論では意味がないのは分かるが、全てがこの最悪な結末に繋がっているように感じられてしまう。

また、コロナ禍の最初期の日本を舞台にしていることも直面した世代としてはより辛くなる。
私は学校が休みになって、オンライン講義に変わって、そんな生活だった。
一方でギリギリの生活をこうやって奪われてしまった人がいることを改めて痛感させられた。

この話でとにかく辛かったのは主人公の幸せを周りの大人が悉く奪っていっていることだった。
せっかく薬を止められて生きようとしていた主人公の笑顔を刑事の汚職が奪った(記者の告発記事とも言えるが…そうじゃない気はする)。
子供との純粋な生活を、主人公の母親のわがままが奪った。

そうやってようやく上を向いて生きようとした人間の足を引っ張るようなことが多過ぎて…観ていてとても辛かった。

もちろん、就職先の社長さんなど優しい大人もいたのだが…

映画的にはラストシーンがちょっとベタというか、気になるポイントだった。
刑事の泣きながらの訴えや子供を押し付けた母親の主人公への感謝など。

まぁいい話でまとめたいのも分かるし、たしかに主人公の人生が無意味じゃなかったとは感じられて良かったのだが。


実話ってそれは嘘なのではと疑いたくなるような辛い映画。
キャストの演技力もあいまって心にずっしりとくる作品。
Amibo

Amibo