にゃあまん

あんのことのにゃあまんのレビュー・感想・評価

あんのこと(2023年製作の映画)
4.0
冒頭から重そうな展開。
ラブホで覚醒剤を打ってプレイのはずが男は昏倒してしまう。
警察に捕まって取調室。

佐藤二朗演ずる多々羅保の奇行にドン引きする
河合優実演ずる香川杏。

河合優実の幸薄い演技と顔つき、目線での表現は凄い。

公団住宅に祖母、母と同居している杏。
家族が居ることがいけないパターン。
猛毒親の母親。

共依存。

離れれば楽になれるのにそうできなくてダメな方へいってしまう。

杏の事をサポートする多々羅と桐野。

ここまで赤の他人を心配してくれる事は家族と居るより幸せ。

杏が覚醒剤とウリをやっていた時の表情と多々羅に出会ってからの表情が大きく良く変化していく様が画面からも伝わる。

母親が杏の勤め先まで乗り込んで連れ帰ろうとするが追い返す。
劇薬親の所業。
昭和産まれの親に多いんですよね。
自分軸でしか考えないし見えない。

そんな中、世の中はコロナ禍へ。

桐野は多々羅の行為を突き止めたが
正すだけが正義ではない。

それで自分が支えられているなら本人から見たらそれが正義。
法律を翳すのも大切だが人の人生を壊すのが正しいのなら・・・

杏はコロナ禍で大切な大切な人との繋がりを失ってしまった。

突然のトラブル。

隼人の世話。

ソーシャルディスタンス。

人との繋がり、温もりが無くなった時期。

東京オリンピック。

今では過去の事でしたがね。

祖母の世話が出来なくなったが隼人の世話で気を紛らす事が出来た。

共依存とは簡単には切れない。

杏ももっとドライに自分の幸せを考えていたら、と。

多々羅と桐野と介護施設で働いていた頃が、さぞ懐かしく愛おしいと思っただろう、あん。

杏の母親。

生きている価値の無い存在。

単なる産んだだけで自分の満足の道具にしか考えられない悪魔。

それに引き換え必要悪であった多々羅の存在。

人とは何処かで支えられて居ないと生きて行けない。

東京オリンピックのブルーインパルス。

もう、無念の涙しかありません。
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