とんでもなかった
母親からのDVによって小学生の頃から身体を売りに出た杏
やがて薬物で逮捕され、そこで出会う大人と更生の道へ
『ダンサーインザダーク』と似たような感覚
腐った大人によって尊い命が弄ばれるなんとも悲しい 事実を元にしたお話
受け身で観るような映画ではなく、沢山のテーマが散りばめられている
家庭内暴力によって生まれるもの、警察の権力行使、メディアの無自覚さ、直接的には描かない醜い大人の世界が広がっている
杏になるべく注目して描ききる 河合優実恐るべし
佐藤二朗のキャラがこれでもかとこの作品を色付ける とても素晴らしかった
杏の微かな希望が部屋のカーテンを開けて照らされる太陽光のイメージで それを裏返すかのような大雨の中トンネルでドン底にいる杏 彼女の心情を表すかのような演出が際立つ
そしてコロナ禍によって失ったものがある人たち 自分も大切な取材対象者の方を亡くした
あの数年、病が及ぼした人類への影響はとてつもなく大きいと思う
彼ら彼女らのような境遇の人を生み出さない覚悟はできているのか、はたまた救う準備はできているのか
妻と子供を捨てた男の責任を
こういう作品を他人事にしていたら、変わらないボンボンとした日常が続くだけなんだろうなと