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あんのことのmatsutake_filmのネタバレレビュー・内容・結末

あんのこと(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

救いのない杏の生活に苦しくなり、鑑賞後にも重い気持ちが残る作品でした。杏以外の登場人物が全員好きになることが出来なかったです。河合優美の演技もとても素晴らしく、心情の描写に魅せられました。

過酷な人生から抜け出したと思ったら、また地に落とされ、見つけた生きる喜びである隼人も奪われ、シャブを再び打った罪悪感から全ての糸が解けてしまった杏は死を選んでしまう。
毒の味しか知らない人生から抜け出し、腐っていない生活の味を知ったからこそ、もう耐えられなくなったのだと思います。
「死にたい」は生きるための救済で、「生きる事ができない」になった時、本当に人は死んでしまうのでは無いでしょうか。杏がもう生きる事が出来ない気持ちになった時、心がとても苦しくなりました。

役者の演技は素晴らしく、杏にとても感情移入できるように構成されているように思います。母親役の河合青葉さんは嫌悪感満載でよかったです。あの家の狭い空間の閉鎖的で逃れられない感じが、とても怖く感じました。
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