剣々

Brother ブラザー 富都(プドゥ)のふたり/アバンとアディの剣々のレビュー・感想・評価

4.0
マレーシアの最下層を生きる

言葉を話せないが真面目なアバンと素行不良気味の弟アディ
2人は身分証も作れず、貧しい生活を送っていた
一方ソーシャルワーカーの女性が、彼らに身分証を取得出来るように奔走していた
ところがある日、彼女の真っ直ぐな言動に苛立ちを我慢できなかったアディは、取り返しのつかない事件を起こしてしまう
こうして2人の生活は一変してしまう…

マレーシアで貧困の中を生きる兄弟を描く作品
身分証明書すら作ることが出来ないから口座も開けない、そんな過酷状態を2人手を取り合い生きる姿が印象的です
普段自分の生活が、いかに恵まれているかが改めて気付かされました

苦しいながらも懸命に生きる兄弟
アディは時々道を踏み外しそうになりますが、そのたびにアバンがそれを踏み止まらせます
ハンデを抱えながら真面目に懸命に生きるアバン、ヤンチャだけど兄弟のことをちゃんと思っているのが伝わってくるアディ
2人は一緒に支え合いながら、歩みを進めてきたわけです

しかし、2人の生活が事件をきっかけに大きく変わります
中盤以降はまた違った切なさが現れます
兄弟愛もさらに感じられる展開ではありますが、自らの思いを吐き出したアバンや終盤の兄弟の会話には胸を締め付けられました
この兄弟の行き着いた先は切なく心揺さぶられました

懸命に切ない人生を歩んだ2人の物語でした
剣々

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