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Brother ブラザー 富都(プドゥ)のふたり/アバンとアディのyuzameのレビュー・感想・評価

3.0
ウーカンレンが凄かった。
終盤の牧師とのシーンは特に。

どんなに辛くても最後まで折れずに
正しく生きた彼が、
なんで俺は生まれて来たんだ?と。
俺の生まれた意味はなんだ?と

その言葉の強さと重み。
言われた相手は逃げられない、
目を背けたとしても
無理矢理目を合わせてくるような。
欺瞞を絶対に許さない強さがあった。

言ってしまえば
かなりベタな内容なんだけど
恐らく作り手は、
この不平等を強く訴えたい、
ぶっちゃけこのシーンのために
この映画を作ったんだと思った。
「ブルーバイユー」とかこの作品とか、
ストレートにフルスイングで
メッセージをぶっ込んで来る作品は
やっぱりしっかり刺さるなぁと思った。

マニーさんの誕生日パーティーの
ダンスが2人の最高潮だった。

弟の存在が生きる意味だったんだろう。
親も居ない。耳も聞こえない。
未来を何ひとつ思い描けない彼が
見出した生きる意味。
この幼い僕を守る。
僕が守られたかったように。
僕が得られなかったものを、
この子に与えたい。
ラストシーンで
髪を漉いてくれるお兄ちゃん。

兄に罪を着せて、
法の下で罪を償わないアディに対して
すんなり納得できない気持ちも
あるにはある。
でも、法に守ってもらったことなんかない
この2人の兄弟が
互いに納得して、
相手に恥じぬように
これからを生きるのであれば
それは他人が口出しできない事なんだと
思った。

亡くなってしまった彼女は本当に気の毒。
そこに対して、弟の代わりに兄が償う事を
どうか許して欲しいと思ってしまった。

アヴァン達が暮らすアパートは
ついこの間見た
九龍城塞に通じるものを感じた。
みんなで助け合ってて。

タレンタイムを見た時の
大学の先生の解説の際に
他民族国家のマレーシアでは
インド系や中華系の国民を
制度の上でも区別、平たく言えば
差別していると言うお話があった。
街中に掲げられていた広告
「マレーシアの子供」には
純粋なマレーシアの子供しか
含まれないのだろうなと思った。
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