genarowlands

ウディ・ガスリー/わが心のふるさとのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

4.8
1930年代、世界恐慌と砂嵐の大災害で故郷を捨てざるを得なかった労働者を励まし、奮起させるために、農場、工場、町で歌い続けたフォーク歌手ウディ・ガスリーの半生。こんな人がいたのか。魂が震えた。

人気が出ても安易な商業化を拒み人々が働く場で前を向く歌を即興で歌い鼓舞する。魂の歌にとてつもない力があった。

1930年代は、世界恐慌に加えて、耕地化による大規模な砂嵐(ダストボウル)が頻繁(1日何回も)に起きる大災害が発生し、アメリカ中部~南部の人々が耕地と仕事を失い、カリフォルニアに押し寄せたものの、果樹園や農地での仕事は少なく、農場主から搾取され、難民キャンプで苦難と貧困の暮らしを余儀なくされた。

「怒りの葡萄」(未読、未見)が描いた貧困と搾取の同じ時代。


ハル・アシュビー監督の渾身の作で、次々起きる出来事に引き付けられ、ストーリー展開の巧さで、二時間半集中した。ハル・アシュビーの作品はどれも人間の本質を描き、愛があり、大好きな監督。

頼まれたら拒まない、人々を癒す力のある愛すべきウディを演じたのは、デヴィッド・キャラダイン。飄々とした自然な演技だった。


心が荒んでいる人々に希望を与え続けたウディ・ガスリー。フォークの巨人といわれている。しかし、組合結成を促し社会主義者で反体制であったために、音楽界や社会の記憶から消されつつあった。ボブ・ディランが敬愛し、紹介していたことで、時代を超え、歌い継がれていった。原題はウディの代表作の一つのタイトル。
genarowlands

genarowlands