netfilms

18歳のおとなたちのnetfilmsのレビュー・感想・評価

18歳のおとなたち(2023年製作の映画)
3.3
 非常に評価が難しいというか、今作を否定することによりこれからの未来のある若者を頭ごなしに否定することがあってはならないし、遅ればせながら18歳~20歳の新成人おめでとうございますなのだが、映画そのものは正直申し上げて出来が良くない。この映画そのものがJCのCM広告案件の延長であり、『中学生日記』のドラマ・パートのような微妙な凡庸さを丁寧に紡いで行くのだけど、はっきり申し上げて映画館のワイド画面に相応しい作品でもない。その時点で何も映画ではなく、深夜ドラマやケーブルテレビの枠内に収めれば良いだけの話である。特に最近の日本映画に関しては、ワイド画面の魅力を意欲的に切り取ろうとする人々が皆無で、それ自体が無駄な足掻きなのではと思ってしまう。ケンカに明け暮れ、少年院にまで入っていた成田誠(兵頭功海)の出所シーンから始まる今作だが、かつてのヤクザ映画の風格は見るべくもない。やがて彼の迎えに教育委員会の職員・山田菜摘(久田莉子)が来る辺りの展開は唐突だが凡庸で、誠に衣食住を用意する彼女の判断もかなり不適切と言わざるを得ない。

 少年法に定められた通り、どんな人間にも再生のチャンスは与えられるが、然しながら更生しようがない人物が多いのも難しい問題である。今作はその辺りの難しさに肉薄しているかに見えて、妙に物分かりの良い不良ばかりが登場する物語にかなりの違和感を覚える。1人は暴力で罪を背負い、もう1人はいじめの問題で引きこもるのだが、2人の描写の陰影が乏しいように感じる。今作の登場人物の誰もが逡巡しているかに見えて、ほとんど何も考えていないように見えてしまう。一方で18歳が観たら注意喚起にもなり得る部分としてはいわゆるAV新法問題があるのだが、結局弁護士が間に入らないことで30万円で手打ち的な解決策が別の誤解を生むのも事実であり、視点・論点がどうもずれているように感じられる。感動の実話だというものの、青春群像劇としても一級品ではなく、映画内映画の制作の在り様にフォーカスするかと思えば、いきなり成人式の本編映像が唐突ににモンタージュされる辺りも幕間ものとしては物足りない。一瞬、眼鏡をかけていて誰かわからなかった登場人物がエンドロールで黒田アーサーだと判りびっくりしたが、オセロの中島知子もどのようにキャスティングされたのかは知る由もないが、何と言うかどのように振る舞おうとも凡庸にしか見えない作りが言い得て妙である。
netfilms

netfilms