空母ポンタヌフ

毒娘の空母ポンタヌフのレビュー・感想・評価

毒娘(2024年製作の映画)
2.1
作品を観たあとだと「毒娘」というタイトルが秀逸だとわかる。「毒親」というキーワードに対するアンチテーゼだと思っていて観ていたら、どちらかというと「有害な男性性(Toxic Masculinity)」から拾ってきたほうが強いんじゃないの?という類稀なるモラハラ家父長映画であった。そしてこのモラハラの最高形態としての妊活が出てくるわけであるが、よく考えたら妊娠ってとんでもない行為だよなという気持ちになるほどモラハラ妊活であり気分が悪くなる(褒めてます)。夫の一挙手一投足が気持ち悪く感じでしまい、その毒親しぐさが極めて優れているからこそ最後のカタルシスがうまれるわけだ。そしてその「毒」に対峙する存在としてのちーちゃん、家父長制的な支配構造や隣人間の力関係などに対して文字どおり毒をもって毒を制すを体現していくわけである。これは極めて痛快な存在であり、そのコンセプトは指示したい。つまるところ、この映画が掲げているテーマは高く評価したい。

 しかしながら、映画全体として面白かったかと言われると「う〜ん」とならざるを得ない。なぜならちーちゃんは、都市伝説でも地縛霊でもイマジナリーフレンドてもなく、存在する人間だからだ。作中では理由付けをする努力が為されていたが、こんなのが実際にいたら逮捕されて終わりである。あとかなり汚い生活をしている割にそこまで背格好が汚れてなくあとは整った顔をしている。もっと顔とか歯とか汚くてよかづたんじゃね?とも思う。つまるところ、もう少しオカルトチックな存在にしたてあげてくれたほうが個人的な好みには合致していた。
 あとは、映画のゴールがみえず、「いま、なんのために何をしてるんだっけ?」という気持ちになることがたびたびあった。そのような冗長さを拭いきれない作品でもある。そのため、全体としてはこんな感じのスコア