風来のリヨナ

オリオンと暗闇の風来のリヨナのレビュー・感想・評価

オリオンと暗闇(2024年製作の映画)
5.0
ほらね!なんてことない

とある不安障害系ボーイ・オリオンくん。彼、本当にあらゆる物が怖く、カウンセラーの勧めで記載している ”恐怖の対象” を書き出すノートはもうめちゃ分厚い。バスに乗れば事故るかも…展示の模型が落ちるかも…家のドアを開けば両親がいないかも…そして一番怖いのは ”暗闇”。

365日ずっと本当に毎晩のように闇に怯えて、ベットで叫んでるらしい彼を見兼ねてやって来たのは、”暗闇” さん本人。度を越した怖がられ方に結構傷付いてる様子で、オリオンくん自身もこわがりを治したいとのことから、「一晩。仕事を見学してみてくれないか?」との提案が…。夜の空に飛び立つ2人の長い一夜の始まり…みたいな。



ネトフリちゃんが抱える現代童話系3Dアニメーション!これがびっくり、ドリームワークス製!3Dアニメにおいて、”ここなら安心して良い” という僕の中のトップです。

これがもう…ほんっっとうに良い。本当の本当に。極度の不安障害を持つオリオンくんが、優しい暗闇と出会い、夜の住人たちと出会い、恐怖の克服に奮闘する不思議な一晩…メインの軸はこれなのですが、ここにもう1つ絡んでくる多層的な要素が一気に話を面白くしてると思います。

キャラの良さも随一で、ふかふか真黒巨人 ”暗闇” の可愛さは勿論…彼を取り巻く友人たち ”睡眠” に ”不眠”、”静寂” に ”不可解な騒音”、そして ”よい夢”…こんなヘンテコな精霊のメンツ見たことないよ!打ち消す要素が二組おる!!

これでちゃんと全員が活きてくるのも…良い…。人を眠らせる睡眠の仕事が魔法枕で窒息させたり、魔法クロロホルム嗅がせたり、完全に殺人なの好き過ぎる。

どこか童話的な詩的さがあり、どこか真理をついているような核心があり…難し過ぎず、シンプルに良すぎる脚本…まさにいま暗闇が怖いような子供には勿論、大人が観てもグッと来る染み染みとした後味…。

…というか僕は、本編中は耐えてたのに、何故かEDで後から後から涙と鼻水が来るという謎の決壊が起きて面白かったです。観よう!!親子で観られる人の感想も聞きたいね…。

個人的に気に入ったのは、目を守って花火を見れないオリオン、暗闇を先頭に世界が夜になっていく飛行、ネズミのホコリみたいな ”静寂” 、ハグを求めるロボです。
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