鹿山

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)の鹿山のレビュー・感想・評価

3.7
・コナン映画を観たのはおそらくこれが初めて。いままでアニメや映画が地上波放送されているのを、断片的に観たくらいの記憶しかない。
けれど、友人が「気になる」と言ってたり、あと興行収入がとんでもないことになっているから、ミーハー的に足を運んでみた。
だから、ファンサービスなどはからっきしわからなかったのだけれども、名探偵コナンシリーズの魅力は受け取れた気がする。

・この映画特有の魅力よりも、コナンくんの普遍的な魅力を味わう2時間だった。

・コナンくんってつねに観察眼を働かせていて、見たものはだいたい憶えている。しかも信頼できる仲間や情報筋もいて、いざというときは彼らと連携もとれる。けど、幼い身体だから、物理的/立場的にすべてを見ることはできない。その有限性がいつもアクションのトリガーになる。
序盤にあった、服部くんがコナンをひょいと持ち上げて、オトナの目線に合わせてあげるショットが象徴的。ふたりの関係性をひと目で示してくれた。

・コナンくんはそこそこシニカルで意地悪なやつなんだけど、彼の内心のぼやき(ツッコミ)こそが、作品のリズムをつくっている。他の作品で、日常パートをもっと見てみたい。

・シニカルで頭脳明晰なコナンくん、飄々とした怪盗キッド、すらりとした面持ちに内なる闘志を秘めたオリキャラ福城聖に比べて、服部くんがぶっちぎりで泥臭い。いちばん人間味があるいいやつだった。(いつもそういう役回りなのか?)

・もちろん推理も披露されるけれど、主眼に置かれているのは函館観光、チャンバラ、カーアクション。冒頭のチャンバラはかろうじて現実味が残っていたはずだが、徐々にリアリティラインの箍が外されていく。
紅葉さん&執事(初めて見るキャラだった)が、画的にも物語的にもおいしいトコをもってったね。

・いちばんの暗躍者は蘭姉ちゃんかもしれない。他人の恋愛を必死にサポートしててやさしい。

・元太が元太だった。

・aikoのタイミング、ナイス。最初は唐突に思ったけど、今思い返すとあの瞬間以外ありえないなと思える。
そして何気に、エンドロールの演出でさらにもう一発リアリティラインに亀裂を入れてるのにびっくりした。『シン・エヴァンゲリオン』でやったようなことって、今では全然斬新でもなく、ごく自然なことなんだなぁ。

・ところで、女性をめぐるチャンバラ勝負の展開が気になったのはぼくだけだろうか。ああ、2024年になろうとも、女性をトロフィーにして決闘する展開がみんな大好きなんだなぁと素朴にびっくりした。
ぼくがいささか過敏すぎたかもしれない。けれど、いつも推理旅行(?)に付き合わされている女性陣の想いがどうなのか、それが気になってしまう。他作品ならもっと描かれている……のかな?
鹿山

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