このレビューはネタバレを含みます
とことん子どもの視点に寄り添った映画。アイレベルが基本的に子どもの高さであることに好感が持てる。内容は言わずもがな。ぜひ親子で観てほしい作品のひとつである。
本作の見どころは、なんと言っても無邪気なエッラの可愛らしさなのだが、決してそれだけにとどまらない見応えが本作にはある。子どもの頃に大切な人を誰かに奪われるという経験、例えば弟や妹が生まれて親が自分のことを気にかける時間が減ったという経験は誰もがひとつは持っているのではないだろうか。そこに想いを巡らせることができるかどうかで、本作をどれほど楽しめるかが決まるように思う。
本作のセリフにもあったが、誰かを愛したからといって、誰かへの愛が減るわけではない。このように愛情や友情について親子で話し合うきっかけとして本作を観るのも良いはずである。
それから本作の本筋とはズレるが、やはり同性愛を当たり前のものとして物語を展開させている点で、スウェーデンにおけるジェンダーに対する理解は日本のはるか先を行っているように感じた。日本でも本作のように、同性愛を当たり前のものとして描ける時代が来るのだろうか…
