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テルマ&ルイーズ 4Kのペインのレビュー・感想・評価

テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)
4.3
かのゴダールが褒めた数少ないマーティン・スコセッシ作にして、傑作女性映画『アリスの恋』(※グザヴィエ・ドランも自身のお気に入り作として挙げている)。

ハーヴェイ・カイテルはこの映画でのダメ男役とは対照的に、本作『テルマ&ルイーズ』では、正義感の強い熱血刑事🕵️‍♂️役として出演している←

『テルマ~』に先駆けた女性の孤軍奮闘映画としての傑作『アリスの恋』や、バーバラ・ローデン『WANDA ワンダ』等があるが、パンフレットにも書かれていた通り、もっと遡れば女性の“彷徨い”映画としてのミケランジェロ・アントニオーニ監督×モニカ・ヴィッティ主演の一連の作品や、アニエス・ヴァルダ監督の『5時から7時までのクレオ』といった欧州女性映画を引き合いに出すことも確かに可能ではある。

その意味で本作『テルマ&ルイーズ』の画期性は、リアリティ溢れる機微のヨーロッパ女性映画的側面と、ジャンルのコードに縛られた伝統的ハリウッド娯楽作の系譜の両面を高バランスで合致させている点にある←(※女性脚本家のカーリー・クーリの功績が非常に大きいと思われる)

また、この頃のブラピのチャラピな魅力も炸裂!そんなチャラピ(J.D.役)を、監督リドリー・スコットに推薦したのがジーナ・デイヴィス(テルマ!!)その人。J.D.役のオーディションには、かつてのジョージ・クルーニー、ロバート・ダウニーJr.、マーク・ラファロ等も参加していたという驚き🔎

デビュー作『デュエリスト 決闘者』にはじまり、近年の『プロメテウス』『悪の法則』等における歪な“リドスコ印!”な作品は無論好物である一方、本作『テルマ&ルイーズ』のように職人的に徹した、ウェルメイドなリドスコというのも良いではないか←(ジェームズ・キャメロンのフェティッシュな女性観、演出とは対極にリドスコは凄くカラッとしている👩)。

また、有名な『明日に向かって撃て!』すなわち『暗黒街の弾痕』的な、滅びの美学ラストの爽快感もこの上ない。
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