とむ

インサイド・ヘッド2のとむのネタバレレビュー・内容・結末

インサイド・ヘッド2(2024年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

Filmarksの招待試写にて
余談ですが、上映前に監督やプロデューサーが登壇してくれたのがよかった。


ここ最近、ポリコレ意識が見えてる地雷すぎてみる気が起きなかったピクサー映画でしたが、今回は友人が黒人とアジア人、憧れの先輩が褐色肌くらいの塩梅でしたね。
思春期がテーマだから、それこそライリーが実はレズビアンで…みたいな展開もありえたので、その辺はちょうど良いバランスだと思いました。
(別に無理にねじ込んだ感じじゃ無く、展開がちゃんとしてればLGBTでも全く問題ないですよ、念の為)


個人的に序盤で泣いてしまったのが、「自分らしさ」が発芽する瞬間。
人間ってある意味「自分らしさ」の何たるかを死ぬまで理解しないことだってザラにあると思っていて、そんな瞬間があまりにも美しくて何だか知らんけど涙が出てしまった。

そして今回は、前作で言うボンビンよろしく「好き」というのが憚られるゲームやアニメのキャラクターの描写でめちゃくちゃ笑った。
特にクラウドみたいな格ゲーキャラは、狙いすぎなくらいギャグキャラに徹していて本当に笑った。
あと、何気に2Dのキャラクターやオブジェクトが3DCGの中に介在してるって描写が、こういうファミリー層向けのピクサーアニメーションには珍しい感じがして、3Dと2Dが接触してるときのちょっとした絶妙に馴染んでない感じの違和感とか含めてなんかすごく楽しかった。
ただ、じゃあなんでボンビンは消されたんだ…という違和感は終始付き纏ってて後ろめたい。


あと、前作と共通してるのが「他の人のインサイド・ヘッド」が見えた瞬間がめちゃくちゃ笑えるんすよね。


そして、着地の部分は前作と結構似ていて、「不必要な感情なんてない」っていうところに落ち着いてはいるんだけど、こうやって悪役を作らないストーリーテリングって何気に高度だと思うんすよね。
ていうか、こういう荒唐無稽なストーリーで、尚且つ「思い出保管庫」だったり「思い出の津波」みたいな、よくよく考えると「それがアリならなんでもアリじゃん!」みたいなピクサー展開って、みてる間こちらを納得させるだけの説得力を孕んだ演出自体がめちゃくちゃ高度ですよね。

シンパイが「サイバーパンク:エッジランナーズ」のサンデビスタンよろしく高速移動して、残像だけが残っててさわれない、みたいな描写も何の説明もなしに絵だけで見せてくるのとかめちゃくちゃうまいと思う。
「感情の暴走」なんて言うけど、まさにそんな感じの描写ですよね。


個人的にはちょっと収め方が綺麗すぎるというか、友人たちが少し優し過ぎるなぁと思ってしまいました。

ライリーは結構酷いことしてるし、
体当たりの件だって彼女らが様子を見に来るまで謝りさえしてないことを鑑みると、
思春期がテーマなんだから「あんなに仲の良かった友人たちと気持ち的にも離れ離れに、でもいつか大人になってまた話せると良いね…」的なビターな着地でもよかったんじゃないかなーなんて思いました。
前作が「引越しとか、友達と別れるのとか我慢してたけど、やっぱり辛い」って吐露する展開に「そうよな…辛いよな…」と頷いてしまっただけに、ちょい甘ったるく感じてしまいました。


ただ、前述の通り作劇は異常なくらい上手いし、新たなキャラクターたちも魅力的だったので十分楽しめました。
個人的にはハズカシがめっちゃ好きでした。
とむ

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