対話をすること、そして人の心を推し量ること。それらの難しさと大切さについてはよく伝わってきたし、考えさせられることではあった。
ただ、観ても観なくてもどっちでもよかった……というか、何を見せられてるんだこれ?と思わずにいられなかった。
とりあえず、個人的には刺さらなかった。
観ていて様々な点で不安にさせられる作品だった。肩透かしが多い。
「こじれて爆発する!!」というのが分かりきってる関係性を見せられてひとしきりハラハラしたあと、しっかりこじれた関係が弱めに爆発して拍子抜けした。
男3人に女2人というアンバランスさ。男3人の不自然な友情。そして要所要所に散りばめられた不穏な要素。
それらが弱めに爆発する。もっと大爆発すると思ってた。
フラストレーションを溜めるだけ溜めたあとの弱い爆発。その後のカタルシスも弱い。
もっとも、この内容で魔法みたいな完全無欠のハッピーエンドを見せられてもそれはそれでウソすぎるんだけど、それにしても弱い。
「まあそのあたりが落としどころだよな……」ってところにふんわり着地した。
あとは登場人物のことが誰も好きになれなかった。
そういう風に作られた話ではあるんだけど(対人関係において未熟な青年たちが少し大人になる話なので、そりゃ成長前はあんま好きになれない)、それにしても誰も好きになれないし誰にも感情移入できない。というかあまりしたいと思えなかった。
特に秋くんが致命的というか、この子はホントに1人にさせちゃダメだろ。
カッとなると手が出るっていう設定がめちゃくちゃ足を引っ張ってる。
ラストでは「怪物が野に放たれてしまった……」と思ったし、あとの2人と再会するよりニュースでお目にかかる方が先なんじゃねーの!?と思ってしまった。
どういう気持ちになってほしくてこの映画を作ったのかは分からないけど、おれはあまり前向きな気持ちにはなれなかった。
疲れました。すごく。