食べる

ジョーカーの食べるのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
3.5
2作目の予習として今更観た。

公開当時、「ジョーカーって俺だ……」みたいな感想がやたらと流れてきてたのを思い出す。
あれって大多数は「俺たちもまた、世の中の理不尽に尊厳を踏みにじられた弱者であり、社会に対する復讐心を燃やす者たちだ……」って意味だったんだよね?
たがらこそ「うるせえな、お前はジョーカーじゃねえよ」って反発も多数あったんだと思うし。

ただ、あれがもしも「俺たちは、他者の痛みには無関心なのに、自分(自分たち)の痛みには敏感に騒ぎたててばかりだ」という意味での共感だったのなら、確かに「俺たちの物語」って解釈も成り立つかもなとは思った。

アーサーの人生という苦しみに満ちた舞台はイカレ女の無関心によって生み出され、アーサーという存在はイカレ女のピエロでしかなかったということが判明するシーンはさすがに同情を覚えたし、これを見て「俺だ……」ってなる人ってどんな人生歩んでるんだよと思わずにいられなかった。
言っちゃ悪いんだけど、ここで「俺だ……」つって自分の話で上書きできるのって根本的に他者の苦悩に興味無いからでしょと思ってしまう。

でもそれはアーサーも、アーサーに感化された暴徒たちも同じ事だ。
「俺たちは、俺たちの苦しみを見て見ぬふりする社会によって蹂躙された。だから社会に復讐する(してもいい)」って発想は結局のところ他者に対する関心が無いからこそ出てくるものだ。
みんな自分のことで精一杯で、他者のことを思いやる余裕が無い。
自分の苦悩ばかりがクローズアップされて「なぜ自分ばかりがこんな思いをしなければならないのか」という怒りにとらわれている。

だからそういう意味で、ジョーカーっておれたちなんだろうな
食べる

食べる