笑えて泣ける良質な娯楽映画。とかく全編を通して人情味に満ちているし、温かみがある。
中盤まではカルチャーギャップコメディ。誰が見ても理解できる、誰も傷つけない、親しみやすい笑い。
クライマックスにかけて盛り上がり、緊張感が高まるとともに、息を呑むほどの展開へ。最終的に作品メッセージとして残る"願い"のようなもの、その尊さたるや。
好感を抱いたのは、笑いにしろ感動にしろ、味付けが濃すぎないところ。ショートケーキ、雷など、さりげなくもグっとくるところが多い。台詞や演出が慎ましく、作り手による"ドヤ感"みたいなのが感じられない。
愛されるキャラクターを作るのもうまい。悪者は出てこないし、それぞれの登場人物を描き込んでいないぶん、適度な余白がある。
美女や美青年がいるでもなし、「味がある」役者揃い。ベテラン俳優の存在感が際立っていた。
