このレビューはネタバレを含みます
野木亜希子作品キャラクターの集結作品であり、全く新しい作品。
過去作品のキャラクターたちが、ファンには嬉しい程度に、けれど物語の邪魔をしない程度に出てくる塩梅がとても良い…
中堂系、「く」の付く言葉で誤魔化そうとする割にあまりにも語彙がなさすぎる。
社畜の地獄の話だった。
親会社の闇も深いし、下請けの会社も地獄だし、さらにその下請けの過酷さもそう…しあわせな人たちが誰もいなかった…。
ドライバーの親子がいつひどい目にあってしまうのかとずっとドキドキしながら見ていた。何もなくて本当に良かった。
採算が合わないという点はどうかと思うものの、爆破にも耐えるような頑強な製品を作っていた企業は淘汰され、利益重視の製品が蔓延っていく世の中…
孔にとって二番手として働くデリファスは天国だったけれど、筆頭となってしまった今、彼にとってそこは天国ではなくなってしまった。
きっとこれから下請けの賃上げによるしわ寄せを背負うはめになるし、本社はやり方を変えることだってないだろうし、エレナはやることやって解放感に満ちているだろうけれど、彼女の行いによって更なる地獄が待ち受けているのだろうことが想像出来てしまう終わり方でやるせない…。
運送会社も一矢報いたとはいえ強い企業におさえつけられていることは変わりないし、ドライバーたちも別にこれで生活が変わるわけでもない。一時的にやってやったぞ!という達成感はあるかもしれないけれど、結局もとに戻ってしまうんだよな……第二第三の山崎が出てくる可能性は全然消えてない…
ストーリーはめちゃくちゃ良かったし脚本も素直に好き!!といえる作品なんだけど、うっかり自己投影しながら見ちゃなんねえ映画だな…と感じた。