怒濤の展開の連続で、上映時間60分とは思えない、濃厚なアニメーションでした。
これは見ながら色々とびっくりさせられて……。
じわじわとゾッとする不気味な映画です。
1969年の作品なので、今ではありえないような残酷な展開や風刺が次々と出てくるのすが、その辺りがとても新鮮でした。
こういう驚きや発見は、古い映画を見る楽しさのひとつですね。
原作は石森章太郎さん、原画には宮崎駿監督も参加しています。
宮崎監督の担当したシーンは、ものすごく彼らしいので、「あ、ここだな」と一瞬で見つけられます。
むちゃくちゃしやがるぜ……って言いたくなるような場面です。ふふ。
物語は、主人公隼人はお父さんとお母さん、愛犬のジャックと、ボートで沖釣りへ来ているところから始まります。
隼人の片手にはボアジュース。
最近、隼人はこのジュースが大のお気に入り。
ボアジュースの蓋を千個集めると、「抽選で海底旅行にご招待」とうたわれていて、小学校では子供たちが競うようにボアジュースを飲んでいた。
沖釣りの帰り際、隼人たちは乗用車が崖から落下するのを目撃。
父とふたりで救出へ向かうが、運転手の姿はなく、助手席には気を失った男性と女性の姿が。
男性は父の会社を含め、ボアジュースの輸入を行う黒潮物産や、多くの事業を手広く行う黒潮コンツェルンの会長、女性は彼の妻らしかった。
徐々に薄暗くなっていく空、救助を待つ間についに雨が降り出す。
仕方なく雨宿りに崖上の古びた屋敷へ移動することになる。
朽ち果てた屋敷は、幽霊屋敷として噂の廃墟だった。
シャンデリアは落下しかけており、壁の絵画は傾いている。
蜘蛛の巣だらけですきま風の吹き込む恐ろしい屋敷に、骸骨の幽霊。
オカルトと冒険の物語かと思いきや、ここからSF方向に話が展開していきます。
ネタバレしないよう気をつけつつ、最後にどうしてもつっこみたいのが一点。
なんであのシーンのあの人、冷蔵庫(貯蔵庫?)覗いてたの……!?
恐怖を感じさせる場面のはずが、生活感あふれる行動のせいで、もうおかしくて仕方ありませんでした。