TS

キングダム 大将軍の帰還のTSのレビュー・感想・評価

キングダム 大将軍の帰還(2024年製作の映画)
2.6
【自惚れた最終作】60点
ーーーーーーーーーー
監督:佐藤信介
製作国:日本
ジャンル:アクション
収録時間:145分
ーーーーーーーーーー
 2024年劇場鑑賞15本目。
 1ヶ月ぶりの映画館だけでなく、1ヶ月ぶりの映画鑑賞。これだけはせめて公開初日に、ということでレイトショーで観に行きました。シリーズ4作目で、最終作と言われている今作は、恐らく多くの国民が期待をしていて、夏休み多くの人が映画館に足を運ぶことでしょう。他のレビューや評価をみると、やはり評価は高いようですが、残念ながら自分の中では不発に終わりました。いやはや、1作目が最も良くて、徐々に失墜して最終作がこれというのは、原作読者としては悲しい限りです。『るろ剣』がその真逆をいっていたので(それでも『るろ剣』の1作目も充分面白い)残念でなりません。確かに1日おいて考えると、壮大な王騎編のフィナーレを飾る話だったので、悪くはなかったと思います。しかし、期待値が高すぎたのか、本当に映画としてこれで良かったのかというところがひっかかりました。

 今シリーズは邦画界の希望の星とも言え、1作目から3年空いて公開された2作目からは毎年夏に公開されていました。しかし、2作目からは続編ありきの雰囲気で物語が動いていて、一つの映画としては、完成度がやや微妙ではありました。そして、3作目に関しては最早前編と後編と言えるような仕上がりで、これと言って見せ場がなかったので首を傾げる形でありました。そうなると、今作は主人公がほぼ王騎であり、見せ場は終盤そこそこあるので良いのですが、そこに至るまでダラダラとした展開が続き、非常にストレスが溜まります。そして、そのストレスが溜まったままやっと見せ場にいくのですが、これがまた微妙というか、あまり真新しいアクションシーンでもなくそれほど迫力もないのです。ワイヤーアクションも見る人によってはショボく感じ、渓谷での合戦なども微妙な規模と言わざるを得なくなり、そうなると衣装から何までもう全体的にチープに見えてしまいます。

 とは言っても予算に限界があると思うのでこれは仕方ないとしても、それでももう少し削いで120分くらいの映画に出来たのではないかと思います。超人気シリーズで最終作だからといって無理に2時間半モノにする必要はないのに、無理矢理引き延ばしている感じがあって、さらにストレスが溜まってしまいます。例えば信ととある人物が草むらに寝転がって会話をするシーンがあるのですが、このシーンだけで10分弱使用しています。無論、このシーンは大事なところではあるのですが、それ程使う意味があったのかと思えてしまいます。また、王騎の妻になるはずであった摎のエピソードも途中で混ぜられますがこれも長い。この特徴はすでに2作目の羌かいのエピソードから出ていましたが、何をそんなにのんびりと描写しているのかと思えてしまいます。監督は恐らく原作のファンだから故に、丁寧に描こうとしすぎていて、その結果ダラダラやっている割には大した見どころもないという作品に仕上がってしまっているのだと思えます。

 それでも今作の評価が高く、今後もそれを維持し続けるだろうと予想できるのは、間違いなくキラーコンテンツの最終作であるからです。いきなり今作から観ている人は皆無であり、リピーターが待ちに待って鑑賞してるわけですから多少の細かいところは見過ごされます。そして王騎を演じる大沢たかおが熱演をしてくれるので、涙もろい方はそこでやられてしまうでしょう。ちなみに信は今作ではマジで主人公の座を奪われており、主人公の形骸化が達成されている作品と言えます。それにしても、王騎が死ぬということは、原作でもわかってることですし、ネタバレといってもこれを観にくる人の9割くらいはそれを知っていると思いますが、龐煖と決着がついてから絶命するまでまあ尺が長いことよ。感動させようとしているのでしょうが、あそこまで長かったら、まだ死なないのかよ、と生物学的な点からつっこんでしまいますし、何より白けてきます。なんだろうな、色んな人が死ぬ映画であるのですが、尺が余分に長すぎてあまり泣けないんですよね。良い素材を持っているだけに残念でなりません。

 ところで今更ですが、こんな中国の核となる歴史物語を日本人が演じているということを、中国の方はどう感じているのでしょうか。日本史で言うと織田信長や豊臣秀吉を中国人の方が演じ、中国で大ヒットしているようなもの。まあ確かに悪い気はしませんが、違和感を感じますよね。。笑


 ということで終わってしまった今シリーズですが、最終作といいながらも、また某何デンカムイみたいな作品みたいにドラマ化したりなど、別の形式で続けるんではないでしょうか。だって、中途半端すぎますもんね。。まあ、ほとんどが高評価なので、なんかこういう意見を持っている人もいるんだなというくらいで目を瞑っていただけたらと思います。間違いなく夏休みの大作として、これからも興行収入は順調に多くなりそうです。
TS

TS