ガルベス

RHEINGOLD ラインゴールドのガルベスのレビュー・感想・評価

RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)
4.2
クルド系として迫害を受けドイツに亡命し、幼少期から作曲家の父から音楽の教育を授かるも離婚により困窮に立たされグレていく主人公。
音楽の道に夢を抱くも、ボクサーから喧嘩指南を受けて過剰な復讐をしたり悪事を働き始めるなどハードな生い立ちゆえの空回りが繰り返されていく。

ずっとしんどい立ち位置ではあるのだが、強心臓のなり行き任せな感じがどことなく痛快で、ピュアっちゃピュアだし滲み出る小物感もあって喜劇要素も多々あり。

退路を断たれてからの一念発起をして心奥にある言葉を紡ぎ出して行く様は「SR サイタマノラッパー」シリーズのラップシーンを想起。

思うに任せぬ過酷な出自と綱渡りの間抜けな小悪党の軽薄さが同居する主人公の半生の全てが回収されていくラスト付近は必見で、やはりファティ・アキン監督は天才。
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