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ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリスのdarumaのレビュー・感想・評価

4.5
(色々溜めちゃったのでまとめ書きです!)
Huluのリトライキャンペーンが来たのでこれ見たさに再加入。フレデリック・ワイズマン監督の「ボストン市庁舎」が物凄く良かったので、いつか観たいと思っていました。

タイトル通り、ニューヨーク公共図書館を追ったドキュメンタリー、3時間半と超長いです!が、これもボストン市庁舎同様、細切れのエピソードの積み重ねなので、少しずつ観進めればそれほど長く感じません。むしろ、もっとずっと観ていたいくらい。(観た時期がちょうど忙しかったので、毎日30分くらいずつ観ていました)

ボストン市庁舎と同じように公共施設を追っているので似た雰囲気ですが、私は図書館が好きなので、より見応えがありました。図書館って色んな事をしています…本を貸し出すのは勿論の事、子ども向けの放課後学習を行ったり、様々な公開講座を行ったり。私も地元の図書館に地元作家さんの作品を深掘りするような講座へ行った事があるのですが、本作ではエルビィス・コステロ(御本人)が出てきてビックリしました!全く詳しくは存じ上げないのですが、そんな私でも名前を知っている方です。さすがニューヨーク…!

現代的だなと思ったのが、PCやWi-Fiルータの貸し出し。いくら情報化が進んでも、使える手段が無ければ取り残されてしまう…そんなデジタルデバイド(情報格差)を生み出さない事がニューヨーク市の方針みたいな事を言っていました。

逆に凄いなと思ったのが、蔵書をどんどんデジタル化していること。電子書籍もありますが、画集や挿絵をカメラで撮って、データベース化しているのかな?例えばアート関係の人が「犬がジャンプする」ところを描きたいとしたら、それに合致するような絵がすぐ探し出せる。でもそこはアナログで、リアルな紙に印刷したものがファイリングしてあったり(!)多分外部からでもデータ検索できるんじゃないかと思うのですが、実際に図書館に訪れた人はパッと絵が見れる仕組みです。色んな工夫をしているのだなと思った。

公共施設で(公共施設に限らずですが)悩ましいのは予算の配分…今は電子書籍の方がリクエストが多いが、図書館の使命としては、電子書籍にならないような、何十年後かに消えてしまっていそうな本を収集すること。でも、マニアックな本ばかり集めても貸出数は上がらず、多くの人の役に立っているとは言えない…そのジレンマが非常にわかる!と思いました。

図書館で働く人は素敵だなぁ…子どもの頃、司書になりたかったんですが、少しだけその気分になれました。

洋画のドキュメンタリーにあるあるな事ですが、起伏や感動はおそらくあまりないと思います。ただ、ずっと観ていると、じわーっと来るタイプの作品です。例えるなら、深夜に焚き火の映像をずっと映している番組がありますが、あれみたいな…?穏やかな気持ちになりたい時におすすめです(ただ、字幕ですし、眠くなる可能性は大いにあります、笑)
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