冒頭のつかみが素晴らしかった。
火を消して閉店、帰れと促すところからのなにやら人気な主人公、太陽系の実演、帰れ。
もう釘付け。
そこから淡々と徹夜の働き、リズムがよく、絵もいい。期待しかない。
ジム・ジャームッシュ激推しという事で鑑賞。チラシのムードからもっと難解なんかと思ってたけど、シンプルに楽しかった。
長回し好きとしては垂涎だあ、を通り越して、ただ歩くシーンのバストショット付けパンの変わらぬ絵で5分くらい見せられた時は笑った。会話劇とかじゃなくてこういう長回しかよ^_^
おじさんの十二平均律批判がおもしろくて、使い勝手の良さを優先させて無理して秩序立てたシステムの醜さや歪さが、作品を通じて大事なメタファーになっていた。
破壊の煽動者のプリンスも、同じような事を言って民衆を煽っていた。
しかしおじさんがピタゴラス率で調律したピアノではある調の曲では強烈な不協和を生む。グロテスクを嫌った結果より絶望的なグロテスクが現れる。
純粋さを苛烈に追い求めるだけでは世界にマッチせず、おぞましいまでの醜さを生み出しかねない。プリンスだけじゃなく、この世界の数々の無邪気な煽動者と皮肉な歴史が頭をよぎる。
子供たちの奔放かつヒステリックに騒ぐシーンと、濃厚で愛情に満ちみちたキスシーンがとても良かった。
クジラの目玉も良かった。
サタンタンゴ、いってみっかあ!