ラグナロクの足音

ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版のラグナロクの足音のレビュー・感想・評価

4.4
画質くそキレイーーーーーーーそしてこの画の構成力、比類ない。ヨーロッパの中央の地にあって、周囲の大国<太陽>の影響下で激動の歴史を重ねてきたタル・ベーラの母国ハンガリーを地球の衛星<月>に見立てた、複雑な歴史へのオマージュ作品。1980年代の東西冷戦雪解けの時代に、東欧革命を一気に加速させ、90年代には経済成長を遂げ「旧東欧の優等生」とも呼ばれたハンガリーだが、以降、グローバリゼーションの波が訪れたのは、日本同様、ハンガリーも例外ではなかった。それは西側諸国からの「鯨」に表象され、やがて人々は次々にブレインウォッシュされていく。ラストの精神病棟に向かうまでの大衆の逆光突撃カットと、病棟で裸一貫の老父<月>を見てからの大衆の背光退却カットの一連の<月食>シークエンスが、もう素晴らしすぎて。。これを映画館で観られただけで大満足。
ラグナロクの足音

ラグナロクの足音