Y

チェッカーズ 1987 GO TOUR at 中野サンプラザ デジタルレストア版のYのレビュー・感想・評価

5.0
現役時代にファンだったので満点は正直身内贔屓と言われても仕方がない。だけど、本人達が再結成しない以上、このクオリティのライブを演ってくれるバンドが(たぶん未来永劫)いないのだ。だからこの芸風が映画館で見られる唯一の機会として、この点をつけるしかない。

チェッカーズのライブというのは毎シーズン形やアレンジを変えながらもある程度パターンというか根底にあるソウルのようなものは10年間一貫していて、その意味ではGOでなくてもどのライブを見ても同じ楽しみは味わえる。

でもFINALの次に敢えての「GO」ツアーというのは、公式も粋なことをしてくるなというのが観ての感想。

ファンでなくてもある程度は知っていることだが、「GO」というアルバムは売野芹沢コンビから卒業し完全オリジナルとなり、その狼煙であるシングル「NANA」と、現在でも初期シングルを抜いて不動の人気1位を誇る「I love you, SAYONARA」が収録されたアルバムである。

後期になればなるほど上記2曲は毎回やる必要はなくなり、本ツアーで演っている「ジュリアに傷心」などどストライクな初期曲も「涙のリクエスト」をアカペラで演るなど、トリッキーな扱いになってくる。

しかし「GO」というのはまさにその狭間で、オリジナルの手数が少ないためジュリアは演らざるを得ず、また後期になれば定番化してくる曲がアルバム通りの素朴な演奏で味わえたりする。

要は、チェッカーズのショーの本質は味わいつつ、再出発時の気合いの入ったシンプルで懸命な彼らが見られるのだ。

これはある意味、デビュー時のライブを観せられるよりも「FINAL」との違いが楽しめるだろう。(公式はあんまり好きではないが、これに関してはさすが)公式の妙である。

残念なのは、FINAL時にコロナで叶わなかった応援(発声OK)上映か折角催されたのに、その意味が全く分からず黙って観てる客が(少なくとも私の行った回では)多数を占めていたことである。

あろうことかスクリーンへの歓声や合唱より、曲間のおしゃべりが多かった。「発声OK」ってそういう意味じゃない。

この上映でもFINALと同様ある程度の金が稼げると思うが、断言するが複数回金を落としているのは「当時と同様に一緒に歌ったり踊ったりしたいガチヲタ」である。つまり「発声OKってのはそういうことなんですよ」って明確に伝わらないとダメなのだ。

それを考えると、料金は倍額でもいいからデカ目のライブハウスを貸し切り、そこで上映した方が金になる。もちろん本人達がそれをやればものすごい稼げるが、やらないんだからしょうがない。

やってください、ライブハウス上映。また一緒に遊ぼうぜ。
Y

Y