コマミー

ポップスが最高に輝いた夜のコマミーのレビュー・感想・評価

ポップスが最高に輝いた夜(2024年製作の映画)
4.2
【家-ホーム-のような場所】





"1985年"…イギリスのミュージシャンでバンド・エイドの提唱者でもある"ボブ・ゲルドフ"や"クインシー・ジョーンズ"や"ライオネル・リッチー"などの呼び掛けによって、"A&Mスタジオ"にて、チャリティー目的で"錚々たるアーティスト"が集められ、誕生した"名曲"が誕生した。

そう、それが「ウィ・アー・ザ・ワールド」だ。

そんなこの曲が、一つのスタジオで、しかも競争社会が激しいこの業界の中で、"スティービー・ワンダー"やボブ・ディランなど45人のアーティストが、"徹夜"で仕上げたんだから凄いことである。しかもこれがアフリカの飢餓を救う為に集められた"チャリティー目的"である事も大きなポイントであり、これ以降、多数のアーティストにチャリティー目的で豪勢なライブやレコーディングをする文化が広まった…このキッカケを作ったのもこの曲なのである。

そんな名曲の"誕生の裏側"は、果たしてどのようなものだったのか…。ライオネル・リッチーや"シンディー・ローパー"などが、当時の事を面白おかしく話し始める。

ライオネルやスティービー、そしてマイケルがやはり元から仲が良いのか、"友達・遊び感覚"で楽しみながらレコーディングをしていたのはとても納得であった。中心人物というべきに相応しい3人である。
スティービー・ワンダーと"レイ・チャールズ"の"彼ららしいジョーク"もとても面白かった。てかレイのが参加しているのも中々凄い話だ。
凄いと言えば、ボブ・ディラン。この45人の中で1番溶け込めなそうなボブが、周りの空気に気圧されながらもレコーディングしているのが中々面白い。ほんとに入園初日の園児の気分だったであろう。高校初日の私みたいでもある。最終的に参加しなかった"プリンス"が参加していたならば、同じ感じだったのかも?
レコーディングを終えた後、「帰りたくない」と泣いてしまう"ダイアナ・ロス"や"ティナ"がとんでもなく愛おしくて涙が出てしまった。多数のアーティストがボディーガードなどの"エゴなし"で一夜を過ごした結果が、明らかに出ていた瞬間であったろう。

そして、ラストのライオネルの涙と、A&Mスタジオの事を「ホーム」と称したのも、あの瞬間がとてつもなく彼の人生の中で特別で、ポップスが鳴り響くと同時に、人同士の繋がりが確固となっていたに違いないからだ。ライオネルの父親の言葉も、同様にだ。

このドキュメンタリーには、確かにそのアーティスト1人ひとりの人間性が表れていた素晴らしい映像や証言に溢れていたと感じた。
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