氷雨水葵

オーメン:ザ・ファーストの氷雨水葵のレビュー・感想・評価

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)
4.3
2024年17本目

とんでもないザ・ファースト
(少しネタバレありなので注意!)

◆あらすじ
修道女になるため、アメリカからローマにやってきたマーガレット(ネル・タイガー・フリー)。

しかし、教会で奉仕するうち、ブレナン神父との出会いによって教会の邪悪な陰謀を知る。

そして、マーガレットの前にさらなる戦慄の真実が待ち受けていた―――。

◆感想
観たーー!!率直な感想を言うと、めちゃくちゃ面白かったし怖かった!

2023年末、正統続編といわれた『エクソシスト 信じる者』があまりにも面白くなかったので、「その始まりの物語」とか言われると「ほんまか??」と疑いたくなるのですが、本作は悪魔の子ダミアン誕生の物語としてちゃんと成立してたと思います。

何が良かったってオマージュがいくつもあったこと。確かオリジナル版では、避雷針かなんかで神父が串刺しになってたけど、本作はそのシーンからはじまる!ステンドグラスを吊り上げるシーンがもうゾワゾワして、気分はまるでファイナル・デスティネーションを観ている感じ。「何か起こるよね!?」とワクワクドキドキを盛り上げてくれる序盤でした。また「あなたのためよ」と言って乳母が自殺するシーンはシスターに置き換えられ、ガラス板で首が飛ぶところは車で胴体真っ二つに。オリジナル版を視聴済みの人は「あ、このシーン💡」となると思います。

ここ最近、ちゃんと怖いホラー映画を摂取していなかったからか、普通に音や暗闇にビクビクしてました(笑)なんか良い感じに怖くて「こういうホラーが観たかったんよ!!」と終幕後心の中は大歓喜でした。とはいえ、どのシーンが怖かったって特筆するところはなくて、どちらかといえば気持ち悪いシーンのほうが多かった。とくに、何度もある出産シーンは受け付けなくて目を閉じてました…出産経験はないし見たこともないけど、あの…マジで無理でした。いや、まぁそうだよな。だってダミアン出生の秘密だから出産シーンくらいあるよね。。。マタニティホラーな側面もあるよね…。(言い聞かせてる)
あ、強いていえば、不穏な空気が終始漂っているのと、修道女という無垢な存在がめちゃくちゃになっていくのが怖かったかな。でも、時々カットインする壁画(天井画かも)は美しく、死んでいく人はみんな派手で清々しく、男児誕生を拒む者を華麗に蹂躙していくのはワクワクが止まりませんでした。

本作の見どころは、マーガレットを演じたネル・タイガー・フリーの演技!!修道女(まだ修練生)らしい優しい雰囲気が良く、終盤になるにつれて別人みたいになる感じが高評価でした。力強い演じ方だった印象です。脚本も良かったけど彼女の演技あってこそ、かつての『オーメン』が輝く気がする(苦笑)

個人的にお気に入りのシーンは、終盤マーガレットが双子の赤ちゃんを出産したシーン。女の子ともう一人は・・・というところで、希望が絶望に変わった瞬間がたまらなかったです。やっと男児が誕生した!という76年版への期待とともに、ついに生まれてしまったというショッキングな真実。美しさのなかにあるおぞましさみたいなのを感じるシーンだったように思えます。

「どうせリスペクトの欠片もない」とふんぞり返ってましたが、全体を通してレジェンド・オブ・ホラー『オーメン』への敬愛と尊重が散りばめられていたと思います。ホラー映画ファン納得(私はしてる)の戦慄必至の前日譚の仕上がりに頭が上がらない。前日譚ということを意識しつつも、一本のホラー映画として恐怖を突き付けてくる演出が良いっ!!!どこかノスタルジーさを感じる71年のローマの情景が、これから起こる恐怖体験によって地獄と化す終盤から目が離せなかったです。

前作を観ていたほうが楽しめますが、本作の後に鑑賞するのもおすすめだと思います!!
氷雨水葵

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