氷雨水葵

ローズマリーの赤ちゃんの氷雨水葵のレビュー・感想・評価

ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)
3.8
2024年19本目

鍵穴と長い廊下

◆あらすじ
古いアパートに引っ越してきたガイとローズマリーの若夫婦。

子どもがほしいと言うローズマリーに、ガイは日付を決めてつくろうと提案する。

しかし、妊娠してからというもの、ローズマリーは精神的に不安的になり、やがて不可解なことに気づく―――。

◆感想
最近『オーメン:ザ・ファースト』を観まして、マタニティホラー・・・というよりオカルトつながりで初鑑賞。タイトルは聞いたことあったのですが、なかなか手を出せずにいました。最後まで観た感想としては、ジリジリと迫ってくる逃げられない恐怖感がよかった!!隣人のカスタベット夫妻がとにかく不気味で、やっぱり一番怖いのは人間だと突き付けてくる脚本や演出が良いっ!!悪魔崇拝とマタニティブルーを組み合わせるという、60年代のホラー映画としてはなかなかセンセーショナルな印象。オリジナル版『オーメン』はもう少し後だけど、先駆けてこういう’’悪魔の子供を産む’’世界観を描いたのは今思えばすごいなあ。ほんとうに偉大だと思う。

正直「このシーンが怖い!」っていうのはなく、全体の雰囲気(?)にゾワゾワしっぱなしでした。意味深な幻覚(妄想なのかな)が時々カットインするし、ただの隣人のはずがお節介がエスカレートしていくし、妊娠してからというものだんだんローズマリーは不安定になっていくし。景気よく血が噴き出すでもなく、ドキリとさせるジャンプスケアもない。けど怖いと感じるのは、ローズマリーに共感してるからかな?そういった経験はないけれど、日々ブルーになることはあるもんね。個人的にヒエエエってなったのは、ローズマリーの味方がどんどんいなくなっていくところかな。自分に一番近い存在の夫でさえ、悪魔崇拝者の仲間みたいだったし、誰も頼れる人がいないという絶望感といったらもう・・・。なにが「治ったらもう一回つくろう!」だよ!!ボケが!!ふざけんな!!!自己中すぎるにもほどがあるわアホか。

高評価だったのは136分間退屈せずに観れたこと。幸せな夫婦生活がはじまり、順風満帆かと思えば気づいたら隣人が侵食してきて、妊娠してからは痛みと不安ですべてボロボロに・・・。最終的には出産し、夫・隣人・ほかの老人たちの思惑を知るわけだけど、全体的な流れがごく自然で「あれ、もう終わり?」と思いました。ホラーというよりサスペンスに近いのが👍得体の知れなさを盛り上げる不気味な音楽も良きでした。
なんか、きれいな病院に入院できると思ったけど、結局連れ戻されるみたいな流れはホラー映画にありがちだなあ(笑)あの瞬間ほど絶望を感じたことはない。救いのないエンドだと察したわ。てか、ナイフ持っていくならぐさりといってしまえローズマリー。赤ちゃんだろうがわが子だろうが、恐ろしい形相なら一思いにやってしまえ・・・とガヤだから言いたい放題。ローズマリーの決断の真意を知りたいね。
氷雨水葵

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