Supernova

オーメン:ザ・ファーストのSupernovaのレビュー・感想・評価

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)
3.0
『オーメン』シリーズ作品を観たことがない人の感想です。

見終わった直後の率直な感想としては、
「『オーメン』ってそういう感じの話だったの?」

「ベネ・ゲセリットだなこれ。」

これでPG-12は気が狂ってる。笑
さすがにこれは映倫狂ってるよ。

めちゃくちゃヨーロッパ映画っぽかった。イタリア映画っぽい。舞台がイタリアだからってのもあるけど、構図とか映像の雰囲気からしてものすごくイタリア映画だった。

上手くできてると思うところもある反面、ここさえ手直ししていれば大傑作になったのにっていう違和感もあるのが勿体無い。

主役の女優が所々ハンター・シェイファーにしか見えなかった。

酒入ってる状態で観たからほどほどに何も考えずに観れるかと思ったら、かえって脳が冴え渡ってしまった。

ネタバレ感想になります。

※以下ネタバレ














なんとも陵辱的で胸糞の悪い作品だこと。胃もたれした。『ローズマリーの赤ちゃん』とかそこら辺の影響が見て取れる。個人的に「『約束のネバーランド』じゃん」と思った。
いずれにせよいろいろとエグすぎてかなり食らった。

あの獣は何者?
そこに触れないのはなぜ?
オーメンシリーズ見てれば共通認識の何かなの?
てか儀式で産んだ子は具体的にどうやって使うの?

これらの疑問はシリーズの別作品を見ていれば解消される疑問なのかもしれないけど、多くの疑問が残った。それ故にオチの部分で得られるカタルシスが激減してしまい、不完全燃焼のまま劇場を後にすることになった。

でも個人的に一番不満だったのが、主人公のキャラクターと教会の雰囲気。

新米シスターの主人公が新しい職場となる教会に行く所から始まる。その時点では、彼女のバックグラウンドについての情報は何も明かされていない。だから教会に着いた瞬間から挙動不審な振る舞いをする彼女に苛立ちが隠せなかった。
鑑賞者の自分は「今ホラー映画を見ている」という認識があるから「この教会は怪しい」と考えても何ら不思議ではないけど、僕からすると「まだこの教会のことを何も知らないお前に、何がそこまで怪しく見えるんだ?」っていう状態。
中盤で彼女の過去について少し明かされて、その挙動不審の原因が彼女のトラウマに起因していると明かされて納得できる部分もある反面、上記の通り、何の事前知識も持たない主人公が教会に着いた瞬間から怪しい場所に来たかのような振る舞いで怯えていた点に関しては疑問が解消されていない。
鑑賞者に忖度しすぎ。そこまで丁寧にこの教会が怪しい場所だと明示されなくとも、物語を見ていけば思ずと分かるってのに、鑑賞者が馬鹿にされているような気がして腹が立った。

それを助長するかのようなシスターたちの振る舞いも頭が悪すぎてイラつく。
確かに少しくらい変な奴がいたって普通だし、それは全然いいのに、ホラー的演出が全く必要ないような場面でもやたらと不可解な振る舞いをするシスターたちばかりで、あまりにも創作感が溢れだしすぎていてうざかった。
事実として、最終的にあの教会はカルト的な秘密結社でしたってお話だけど、秘密結社なら水面下で行っている活動がばれないように隠す努力をするものを、どう考えても隠すつもりのないシスターたちの行動で「私たちは怪しい秘密結社だよー!」と宣伝しているように見えて幻滅した。だから途中から「勝手にやってろ」って思ってしまった。

ホラー映画って、なんの変哲もない日常の中に潜む異変が不気味だからこそ恐ろしいのに、「最初から怪しげな雰囲気を醸すことに必死な宗教団体が、実は怪しい宗教団体でした!」ってオチに誰が驚くんだよ。
そこが何よりも不満だった。

映像は良かったし、上記のご都合展開を除けばストーリーはかなり良くできていたから、これらが改善されていればかなりの傑作だった。残念。
Supernova

Supernova