リコリス

ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件のリコリスのレビュー・感想・評価

4.5
なんで年を取らないんだろう、若々しくて、そして若い頃にまさる色気あふれる二人。それに広東語の甘い響き。そりゃあ、昔のきらびやかな電飾ギラギラ香港を知る世代は映画館に行くしかない。

国際悪徳マネーロンダリングでのし上がる巨大グループ総裁経済犯vs香港警察汚職対策独立委員会の捜査官。
というか、トニー・レオンvsアンディ・ラウの演技対決。特にトニーは持てるもの全てを時代に乗って端から端まで見せつける草書のような自在演技で、対するアンディは徐々に老い、歳月の疲労がにじむ楷書の演技。

ちょうど「九龍城砦」と同時代。底辺と頂点。でも背景には香港でなら思い通りに生き直せる夢を誰もが持ち、英国と中国の間で翻弄される。実話ベースがどこまで脚色されついるのかは分からないが、英国人が香港を代表する金ピカビルを買い戻し、英国歌を歌うグロさ。インサイダー取引で実体のない株券が現物価格を釣り上げ、行け行けどんどんになる怖さ。

そして国が英国から中国へと放り投げられ、一気に足場が無くなる株の暴落。明日はいつも同じようにあるわけじゃない本当の恐怖。自ら制御出来ないくらい広がった関連団体の危ない世界を、陳@トニーだって玉乗りみたいに止まることも出来ずに乗っかっているしかないわけですね。

結構悪どいことをしても、利益供与を受けただけで逃げ切れた巨悪もいるんでしょう。でも怖いのは人より国。

食べ物が美味しそうで、煙草や酒が満載。食は家族を繋ぐんだな。服装や内装が魅力的。捜査に協力しているのが香港大学の学生たち。80年かかった缶切りの発明みたいに、今、この映画が作られた意図は何なんだろう。。。香港、これといい「九龍城砦」といい、白鳥の歌?
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