このレビューはネタバレを含みます
★前書
最近、比較的シリアスな作品ばかり観てるので、気分を変えようと思った。
そこで、今までちゃんと観たことなかった、松本人志の映画作品を観てみることにした。
1本目の今回は、松本人志の初監督作『大日本人』。
2007年公開の本作は、一応むかし観たことある。
その時は「なんだコレ?」って印象だったし、それ後この作品を観ることはおろか、考えることすら無かった。
だから内容の大半を忘れてしまってた。
★雑感
「大日本人」の家系に6代目として生まれた主人公・大佐藤大は、謎の巨大生物「獣」を退治する家業を生業としている。
中年と呼ばれる年齢となり、妻子とは疎遠で、跡取りや介護の問題を抱え、世間からも疎まれる大佐藤を、テレビが密着取材を行う。
巨大化する能力を備え、日本のために戦う孤独な男の日常をリアルに描いた、ヒーローコメディ。
構想5年、制作費10億と言われ、松本人志が監督・脚本を務めている(脚本は共同執筆)
当時は「あのダウンタウンの松本人志の映画」ということで、たいへん話題になった。
そんな松本人志が、今ではこんなことになっていようとは、あの頃の世界中を探したって、誰ひとり想像すらしてなかったよね汗
まぁそれは脇へ置いといて⋯
本作は、松本人志の独自のセンスや世界観が色濃く反映されていて、賛否両論有った作品。
でも賛否っていうか、ワシの見聞きした限りでは否定的な意見が大半だった気がしてる。
賛否を呼んだ原因は、兎にも角にも作品の一番の特徴である、松本人志ならではのセンスや世界観そのもの。
テレビで観るような「わかりやすい笑い」を期待した人々からは、その突き抜けた物語や映像表現は受け入れられなかった訳だ。
もちろん、ワシもそのひとりだった。
それから年月が経ち、松本人志作品に対する過度な期待も無くなり、当時の印象も薄くなった今観ると、様々な解釈が可能な内容だとわかる。
ヒーローを生業とした中年男性の悲哀を描きながら、メディアに登場する有名人の虚像と実像の物語という見方も出来る。
さらには、アメリカ頼みの日本の防衛の現状を揶揄するような、社会的な側面も伺える。
それら諸々をコメディに変換し、テレビの密着ドキュメンタリー風に描いていくなんて、初監督作にしてはトリッキーだし、ずいぶん大胆だなって思う。
この作品を作るにあたり「構想5年」という言葉はダテじゃないし、そこにはテレビ業界の最前線で笑いを創り出して表現してきた、経験と実績が活かされてるんだろう。
さらに「松本人志」という名前の下、優秀なスタッフが集められたり、潤沢な予算が使えたりとか、有利な点は色々あったんだろう。
しかし、そんな中でも強く感じるのは、松本人志って本当に映画好きだし、この作品は片手間じゃなくて本気に取り組んでたんだなってこと。
そんな風に、あらためて観た今回、いろいろ気付かされた事があった。
でもね、やっぱり面白くないんだよなぁ⋯。
今回はこんな感じでした。
★後書
今回作品を観ていたら、主人公がほぼ全体を通して、何らかの紫色のものを身につけてるのが気になった。
紫色を身に着けて日本を守るヒーローが、ウダウダと自分語りしてる。
それに、様々な能力を持つ巨大生物を怪獣と呼ばず、耳慣れない呼称を使ってる。
そういった所から思い浮かんだ勝手な想像だけど、この作品ってあのアニメ『エヴァンゲリオン』のパロディになってないかい?
色んな問題を抱えながら、日本を守るために戦う紫パンツのオッサンが、「逃げちゃダメ」な局面で一目散に逃げ出す。
なんだか、そんな話にも思えた。
コレって、かなり『エヴァ』意識してないかな?
★余談
結構下ネタが露骨で引く。