花火

ちゃわんやのはなし ―四百年の旅人―の花火のネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

若干総花的というか情報で埋まっている感もあるにはあるにせよ、もう十五代沈壽官の圧倒的な人物的魅力の前には瑕疵など吹き飛ぶ。とりわけ400年祭を取材した当時のニュース映像に、その時を振り返る十五代の声が被さるのがとても良い。大きな龜が2つガラスケースの中に並ぶシンメトリカルなファーストショットは片方が技術の粋を集めた十二代による作品でもう片方が当代による再現品なわけだが、よく似たふたつが並ぶその画面はアイデンティティに苦しんだ十五代の悩みを示唆しているようで興味深い。個人的には、朝鮮陶工らの文化が九州各地に根を下ろしたというナレーションが流れるとき、ある工房の外観を写したカットにさり気なく韓国式の大きな龜が並べてあるのが、それよりだいぶ前に韓国取材で写された光景の反復のようで感慨深かった。
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