西東京

季節のはざまで デジタルリマスター版の西東京のレビュー・感想・評価

5.0
シュミットは大きな屋敷の中に入った途端に人間の動きが少しゆっくりになるオペラ的大仰さに魅力を感じてるのかなって思う。何度も登場する階段は、さらに歩みをスローにさせる。遅延の最中に、記憶を手繰り寄せる。
記憶の中だから当たり前だけど、心理とか内面が一切なく、美しくて優しい記憶の表面だけしかなくて、それは映画そのものだと思う。盲目の爺ちゃんと見えない料理を食べる、マジシャンのイリュージョン、海を幻視するラスト。見えないものを見せる。映画は切り返しのカットで時空間を超越できる。色々見たけど、今のところシュミットのベスト。
空想料理の場面は小津の『東京の宿』のオマージュ?
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