州知事の娘エヴァらが乗ったメキシコへ向かう大型旅客機が、エンジンに鳥が激突して海底に墜落してしまう。エヴァを含む7名のみが生き残るが…というストーリー。
「海底47m」の製作陣による、航空パニックサメ映画です。
エヴァら生存者はエア・ロックに逃げ込み生き延びるも、機体は海底に沈み、更に脱出しようにも凶暴な人食いザメが機体に侵入してきてしまう、という内容です。
そこそこ楽しめる手堅い作りのサバイバル映画という印象の作品でしたね。
序盤、空港のシーンで主人公のエヴァや彼氏のジェド、二人の友人カイル、エヴァが慕うエヴァのボディガードブランドン、幼い少女ローサに祖母のナナ、客室乗務員ダニーロといった主要登場人物をサラリと紹介した後、バードストライクによりエンジンが燃え上がって飛行機が墜落するまでがテンポよく描かれます。特に飛行機墜落のシーンは、エンジンが燃え上がって徐々に破片が剥がれていき、飛んできた破片が機体に突き刺さってそこから穴が開いて乗客や乗員が悲鳴上げながらビュンビュン吸い出されて死んでいくシーンは中々迫力ありました。機体脆すぎな気はしますが。
海中に沈んだ旅客機後部がエア・ロックとなり、そこに逃げ込んだエヴァたちが浸水した機内に侵入してきたサメの脅威にさらされたりしますが、機内に侵入できるサイズのサメなので、ホオジロザメ等ではなくイタチザメですね。出番もそんなに多くなく、メインじゃなく数ある障害の一つといった感じです。まあでも、主人公達に取っては一番の障害ではありますね。出番は多くないと言っても、生存者だけじゃなく救助に来たダイバーも食われるので人が食われるシーンはまあまあありますかね。サメに喰いちぎられた足から血がピューピュー出たりと残酷描写も少しながらあります。
海底の岩棚に乗っかった状態の飛行機が徐々に斜面を海溝に向けて傾いていくシーンが挟まれるのもスリルを産んでいます。
主人公達がいる客室後部のエア・ロックが狭いので、医療器具や酸素ボンベ探しに行ったりはしますが、そんなに派手な動きは出来ないので人間ドラマ中心になっていますが、皆基本的にいい人で身勝手な奴やバカな奴がいないのでそんなに盛り上がる事もなかったですね。墜落前はダニーロをからかったりして如何にもバカキャラなカイルも墜落後は思ったより大人しく、協力的でしたし。搭乗前はエヴァの将来について意見したりしてた彼氏のジェドは墜落後はパニクッったり、悲観的な事しか言わず役立たずになっちゃいましたね。最後もあんなドジって重傷負った上に呆気なかったし。そんな中で従軍看護師の経験があり、冷静に怪我の手当てを行う祖母のナナと、サメについて弱点教えてくれたりする孫ローサは良い存在感をしていました。しかし従軍経験って第二次大戦かと思ったらイラク戦争と割と最近のだったのはちょっと驚いたかな。コルミ・ミーニィ演じるエヴァからの信頼篤いボディガードブランドンは墜落時に負傷しながらも冷静に指示出して医療用酸素ボンベ取りに行ったり頼りになりそうな感じ出してましたが、あの呆気なさはある意味予想通りではあったかも。頼りがいあるキャラを早々に退場させて絶望感与える演出は定番っちゃぁ定番ですね。後、エヴァの州知事の娘設定もほぼ活用されませんでしたね。
絶望的な海中とは対照的な、捜索のヘリパイロットの呑気な会話はちょっと笑えた。
終盤の機内からの脱出シーンは、脱出しようとするエヴァに迫るサメや、海溝へ滑り落ちていく機体からエヴァが必死で脱出しようとする場面などハラハラできて良かったですね。脱出直後のエヴァのシーンは助かると思ってても「ここにきて!?」とちょっとビックリしました。
ドラマ的な面で物足りなさはあったりしましたが、王道B級映画という感じでこの手の作品見慣れてる人や見慣れてない人でも楽しめる作品だと思います。