フランスによって略奪されたダホメ王国の美術品をベナン共和国に返還する過程を映したドキュメンタリー
「26番」と名付けられた美術品に異国の地であるフランスに捕らわれていた思いを語らせながらベナン共和国の学生の議論を映すことにより多層的にポストコロニアリズム問題が提起されていて面白い。輸送される際に美術品が箱の中に収められる流れを箱の中から映し、観客も共に箱の中に閉じ込められ暗闇の中で「26番」の声が響き渡る。
返還されてからは学生達の討論が始まるが、その中で触れられるトピックの数々が良かった。ポストコロニアリズムの要点を触れながら未だ解決していない西欧中心主義の問題を提起し、それは美術館の保管自体の構造や教育システムにまで辿り着く。美術品の返還プロセスは「他者」であった自らの文化を引き戻すことであり、教育システムや言語など様々なものが私達の文化を「他者」に留めさせようとしている、という問いかけが良いし、このメッセージが含まれた映画が西欧の映画祭や西欧のサブスクを通じて広まっている構造も含めて非常に重要な観点だよなと。
面白かった!